いざという時のために…考えておきたい防災と生理のこと

私が企画しました!

ひなこ マイジネコメンバー 多くの人にとって、痛みや不快感、わずらわしさといった悩みを伴う生理。そんな生理が災害時にきたら…?  「避難所生活で生理用品はどうするの?」「体に何か変化が起こったりする?」など、心配は尽きないものです。
いつもと違う状況で、いつも通りの対処ができるとは限りません。そもそも、いつもと同じ対処で安心して過ごせるのかどうかもわかりません。
そんな、私自身の不安から企画したのがこの「生理× 防災」です。
自分の体に合った避難用生理用品は何か、どんなものを用意したら安心できるか、皆さんが考えるきっかけになればと思います。そして、避難生活のみならず、普段の生活でも「生理用品はもっとわがままに自分の体と向き合って決めてみてもいい」ということが伝われば幸いです。

教えてくれた先生

咲江レディスクリニック 丹羽 咲江 先生 国立名古屋病院(現・名古屋医療センター)、名古屋市立城北病院(現・名古屋市立大学医学部附属西部医療センター)勤務医を経て開院。出張性教育や女性の健康についての講演活動など、精力的に行っている。

災害時に起こりうる体へのリスクについて知ろう

緊急時などで清潔な生理用品(ナプキン等の交換を含む)が使用できない場合、体にどんなリスクが考えられますか?

経血のついた生理用ナプキンを長時間そのまま使っていると、雑菌の温床となってかゆみや蒸れを引き起こしやすくなります。ナプキンはこまめに交換することが大切です。避難生活が長期になりナプキンがない場合は、月経カップを使用したり、おむつやペットシート、タオルハンカチなどで代用もできます。

タンポンを長時間連続で使い続けるのは良くないと聞いたのですが、本当ですか?

タンポンの1回の使用時間は8時間を超えないようにしてください。長時間使用して経血をたくさん吸った吸収体が膨張すると、タンポンが抜けにくくなることがあります。また、細菌が腟内で増殖して発熱、腹痛、発疹、吐き気などが起こることもあります。生理がはじまる前におりものの量がとても多い場合や異臭がある場合には、タンポンの使用は避けてください。

災害時はお風呂に入れない環境であることも多いと思いますが、外陰部は常に清潔にしておく必要がありますか?

外陰部を清潔に保つことはとても大切です。外陰部に細菌が繁殖すると、蒸れやかゆみ、黒ずみの原因になってしまいます。ただし、洗いすぎも良くはありません。外陰部の皮膚が刺激を受けすぎてかゆみの原因になることがあるからです。災害時はデリケートゾーン用のウェットシートなどを適度に使用して、清潔に保つようにしましょう。

災害時など、いつもと違う緊張状態や強いストレスがかかる環境に置かれることで、女性の体(特に女性ホルモンへの影響)に変化が起こる可能性はありますか? また、そのような場合、どう対処したらいいでしょうか?

災害時でストレスのかかる環境に置かれると、血液の流れが悪くなって生理痛が悪化したり、出血量に変化が見られたりすることがあります。またホルモンバランスも乱れやすくなるので、月経周期が乱れたり不正出血が起こりやすくなったりする可能性があります。災害時は、なかなか難しいと思いますが、対処方法としてしっかり寝る、食べる、体を冷やさないなどに気をつけていただきたいと思います。

実際の災害経験者の声を聞こう

東日本大震災で被災した学生のエピソード

生理用品を猫のトイレシートで代用

「妹が震災当日に生理が始まったのですが、出血量が多くて手持ちの生理用品では足りなくなってしまいました。そこで、避難していた学校の保健室へ行きました。でも、小さいものを1人1つしか渡せない、と言われてしまったんです。当然足りなくて、夜は寝ることもできません。どうしようもないので、猫を連れて避難していた知り合いから猫のトイレシートを分けてもらって、小さく切って敷いて過ごしました」

〈「聞き取り集 40人の女性たちが語る東日本大震災(2012)」(特定非営利活動法人イコールネット仙台刊)より抜粋〉