マンモグラフィーと超音波(エコー)検査の違い【乳がん検診】

乳がんの検査法としてよく耳にするマンモグラフィーと超音波(エコー)検査。

「乳がん検診を受けなきゃ」とは思いつつ、2つの検査の違いや、どこで受けられるかや費用感がイメージできないと、一歩を踏み出すのもなかなか難しいですよね。

そこで、乳腺専門クリニック ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の島田菜穂子院長に、自分に合った検査法の探し方についてお話をうかがいました。

2つの組み合わせで早期発見が可能

 乳がんの検診に用いられる検査の中心的なものに、マンモグラフィー(エックス線)検査と超音波(エコー)検査があります。この2つはそれぞれ見えるもの、見えないものが違っています

たとえば、マンモグラフィーでは乳腺と腫瘍は白く透けてしまい見えません。乳がん罹患率の高い閉経前後の女性は、まだ乳腺が委縮していないので下手をすればマンモグラフィーだけでは真っ白にしか映らず、腫瘍が発見しにくいのですが、逆に超音波だと見えるので組み合わせることでよりがんを発見しやすくなります。

実際に40代以降の方を対象に、マンモグラフィー単体とマンモグラフィーと超音波を組み合わせた検査でどちらがより早く、より多く乳がんを発見できるか観察したデータが2015年に発表されたのですが(※)、2つを組み合わせた検査のほうが、発見率が1.5倍に上がることがわかっています。

はじめての検診にはセットがおすすめ

日本では40代になると自治体から検診のお知らせがきます。30代では任意型検診になりますが、ぜひ年に一度の検診がおすすめです。
はじめての検診であれば、やはりマンモグラフィーと超音波検査の組み合わせからスタートしましょう。そして自分の状態を把握してから、毎年比較しつつ次の検査を決めていくと良いと思います(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の場合、マンモグラフィー、超音波、視触診、自己検診指導、当日結果報告のフルコースで16,000円)。

「乳がん認定施設」でより安心な検診を

特にはじめての検診だとどこに行ってよいのかわからない方もいるでしょう。1999年以降、日本でも検査する人、診断する人をきちんとテストして、機械がそろう病院をチェックして公表する基盤ができてきました。

「日本乳がん検診精度管理中央機構」(http://www.qabcs.or.jp/)では、各自治体の「マンモグラフィ検診施設画像認定施設」が調べられるようになっているので、事前に探して検診に行くのも手です。

また、すでに何らかの症状がある方は検診ではなく、医療機関への受診が必要です。女性の病気?というと婦人科を受診してしまう方も多いのですが、乳房の専門は「乳腺科や乳腺外来」で、最近では各地に乳腺診療専門の乳腺クリニックも徐々に増えています。症状がない検診の時から乳腺のかかりつけ医を見つけておくと安心ですね。

日々の「セルフチェック」も大切

 病院での検診はもっとも大切ですが、自分でチェックすることも異変に早く気づくことにつながります。普段から自分の乳房の状態を知っておくことで、異常が起きたときにいち早く気づくことができるのです。

お風呂で自分の胸を触ることはあっても、ちゃんと見ていなかったりしませんか? ときどき腕を上げたりして自分の胸の形をしっかり観察してください。実は胸の下部にへこみがあったという例もあります。

また、ボディクリームで胸全体を素手でくるくるとマッサージするのもおすすめ。保湿もかねてぜひ実践してみてくださいね。

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道 島田 菜穂子院長 放射線専門医 マンモグラフィ認定医(A判定)日本乳癌学会認定医 日本がん検診診断学会認定医 産業医 健康スポーツ医 日本体育協会認定スポーツドクター NPO法人乳房健康研究会副理事長。筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院放射線科、東京逓信病院放射線科医長1992年同院で乳腺外来を開設。フランス、アメリカへ留学。帰国後も放射線科で診療する傍ら、2000年乳がん啓発活動を行う日本初の認定NPO法人乳房健康研究会を発足、講演や出版イベント開催等ピンクリボン活動を展開。2008年3月ピンクリボンブレストケアクリニック表参道を開院。ホノルルマラソン3回完走、週一回の休日もスポーツやトレッキングといったアウトドアを楽しむなどスポーツ好きの一面も。