以前、「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」での卵子凍結の取材に立ち会ってくださった上野さん。働く女性の先輩として、これまでの経験から若い皆さんに伝えられることをお話しいただきました。

上野千紘さん(株式会社グレイズグループ CMO)
1988年生まれ。新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。
現在は出向により、株式会社グレイスグループ取締役CMOに就任。

Job:ロールモデルは一人に定めず、自分がオリジナルになればいい

就職活動では、女性だから30歳前後でライフプランの変化があるかもと考えて、20代でどれだけの人がチャンスを貰える会社なのかを調べました。入社した頃のサイバーエージェントは平均年齢29歳で若手が多く、その頃から女性社員もパワフルでエネルギッシュに働いている方がたくさんいました。すごいなと思う反面、自分が数年後に家庭を持った時にもこんな風に働けるのかという思いもあり、ロールモデルを誰か一人に定めることは出来ませんでした。

仕事を思いっきりやることと、プライベートの両立が難しいと、転職や、退職を考える人も多いと思います。この人になりたい、を作ると大変ですし、その人を越えられません。自分が良いなと思える誰かの一部を真似していって、自分がオリジナルになった方が良いと思います。多様な働き方や活躍の仕方を自分たちで作っていけたらいいですね。

Health:会社の健康診断で要検査に

元々生理痛が重い自覚はありつつも、これが自分の体質だと受け止めていて婦人科を受診することはありませんでした。そろそろ気にしなければと社会人3年目に健康診断のオプションで腫瘍マーカーの検査を追加したところ、子宮系で要検査になりました。年齢の割にはとても大きなチョコレート嚢胞(子宮内膜症)があると言われ、一週間ほど入院して手術をすることに。その後は再発予防でずっとピルを服用していますが、もうピルがないと生きていきたくないくらいです。辛かった生理痛が、こんなものかと思うほど楽になりました。

他にも、3年程前の検診では子宮頸癌の一歩手前の「中度異形成」が見つかりました。月に一度の経過観察をして半年後に自然治癒していたので良かったですが、その半年間は怖かったですね…。私も経験あるよと教えてくれる人も多いので、意外と身近な女性が経験していることなのだと思います。私の場合は、これまで有難いことに会社の健康診断で異常を見つけることが出来ていますね。

Life:子どもを持つ選択を当たり前だと思いすぎて、深く考えなかった

私は離婚経験があります。29歳で結婚して4年間の結婚生活を送りましたが、お互いに仕事が忙しくも楽しい時期で、”独身が二人で生活をしている”状態。子どもを持つことに対して真剣に向き合わなかったことへの反省があります。学生の頃に思っていたほど、結婚の後に当たり前のように”出産”が訪れるわけではなかった。

若い頃は漠然としか将来を描けないということはよくあると思いますが、社会人になって数年のうちに、ある程度は自分と向き合っておくことを皆さんにお勧めします。前もって考えを重ねていれば、自分の現状にも納得できますからね。

Future:私も、卵子凍結を経験しました

元々興味があったことや、サイバーエージェントでの福利厚生での補助導入が決まったことも後押しになって、自分の将来の可能性を高めるために卵子凍結をすることにしました。採卵を終えたので、詳細にまとめたレポートの公開を準備中です。

ここまでお話ししたように、将来の計画を立てることはもちろん大事。でも、計画が思い通りに行かないこともたくさんあります。それでも、新たな道を自分で見つけて楽しめるといいですよね。柔軟に生き、様々な選択肢を持てる社会になっていかないといけないとも思います。私は一人でも生きていける経済力を持てたことで、決断できたこともあります。自活できていないと選択肢を持てないこともあります。

 

一人一人が頑張らないといけないことではありますが、みんなが多様な選択肢を持つための手助けになるようなことを、今後していけたらと考えています。