女性が冷えると危ない! 冷えが引き起こす症状とは?

〝冷え性は万病のもと〟という言葉がありますが、西洋医学の考え方では、冷え性は病気ではありません。しかし、体が冷えることが発端となり、さまざまな体調の変化や病気に影響することは周知の事実です。

今回は、この〝冷え性〟と、妊婦そして赤ちゃんとの関係を研究している、医学博士の久保田史郎先生に、お話を伺いました。

医学的に「冷え」とはどのような状態のこと?

〝冷え性〟を治療するという考え方は西洋医学にはなく、これは東洋医学の考え方です。ですから西洋医学での冷え性に関する研究は全く進んでいません。しかし、冷えが体に不調を引き起こすことは事実です。私は、現代医学が冷えの危険性を見落としていると考えています。

冷え性を医学的に説明するなら、下肢(あし)の末梢血管が収縮した状態、つまり下肢の血流が滞った状態といえるでしょう。体全体の体温が下がるのではなく、下肢の末梢体温だけが冷たくなった状態です。

なぜこのような状態になるのかというと、主に原因は4つ挙げられます。

1.過労や睡眠不足、ストレスや喫煙による末梢血管の収縮
2.運動不足やデスクワークによる筋肉の機能低下
3.貧血や低栄養、低タンパクによる血管内血流量の減少
4.クーラーなどによる低温環境

これらの生活習慣が、冷え性をつくりだしているのです。

体が冷えると何が起こる?

心臓から送り出された血液が下肢で滞り、冷えると、全身の臓器への血流障害をまねき臓器の働きに影響を及ぼします。それが引き金となり、体のさまざまな不調や病気を誘発するのです。

もちろん、子宮や卵管への血流に関しても無関係ではありませんので、妊婦さんや妊娠を望んでいる女性は特に、冷え性対策を万全におこなってください。産婦人科医としての長年の経験と研究結果から、冷え性は、妊娠中の病気だけでなく、不妊の一因ともなり、また産後の母乳育児にも影響すると考えています。

近年の不妊に悩む女性の増加は、冷え性が大きく関係していると思います。冷え性はすべての臓器の血流を減少させるため、卵管から出た卵子を子宮腔内に運ぶ蠕動運動の働きも鈍らせるからです。

冷えを改善する方法は「プール」にあり!

冷え性の方は、湯船につかる、ふくらはぎをマッサージするなどで下肢のむくみを改善することが大切です。なかでも特に冷え性対策に効果的だと考えているのが、プールでの水中散歩です。水圧と浮力によって、全身の血流を効果的に改善することができます。

長年妊婦さんの運動不足・肥満対策として、水中散歩を推奨してきましたが、妊婦さんがプールに入り30〜40分経つと次々にトイレに行かれる光景を目の当たりにし、水中散歩がむくみや静脈瘤の改善につながると確信をしました。

不妊に悩む方はもちろん、妊娠中の方も、冷え性、肥満は、お腹の赤ちゃんにとっても悪い影響を与えてしまいますので、ぜひ水中散歩を試してみてください。

久保田史郎(元 久保田産婦人科麻酔科医院 理事長/株式会社 風水と健康科学研究所 代表取締役)日本産婦人科学会専門医・麻酔科標榜医・日本超音波医学会認定超音波専門医・医学博士(九州大学医学博乙第1397号)。 九州大学医学部、福岡赤十字病院を経て、1983年4月〜2017年7月まで久保田産婦人科麻酔科院長として活躍。 著書に、『THE OSAN 安産と予防医学』、『「カンガルーケア」と「完全母乳」で赤ちゃんが危ない』がある。