検診で自分の体を知る「レディースドック」

少しずつ関心が高まる「レディースドック」

元キャスターの小林麻央さんなど有名人の乳がん公表、そして昨今の性交渉の若年化により、乳がんや子宮がんへの関心は徐々に高まっていると感じています。「レディースドック」(婦人科健診)で検診を希望される方も少しずつ増えてきてはいますが、諸外国と比べるとまだまだです。

OECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国のがん検診データによると、乳がん検診はアメリカで受診率80.8%に対して、日本は約半分の41.0%、子宮頸がんの受診率はアメリカで84.5%なのに対して、こちらも日本は約半分の42.1%という低い受診率。子宮がん検診は若いうちから、乳がんも若年化が進んでいますので、少なくとも妊娠を考える前に検診をおすすめします。

検診の種類、検診でわかる病気

「レディースドック」(婦人科健診)の内容ですが、子宮がん検診(子宮頸がん・体がん)、乳がん検診、ホルモン検査、更年期の婦人科健診などがあります。たとえば当院の場合、女性の年齢にあわせて最適な検診を組み合わせたメニューを用意しています。

検診で分かる病気は、子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫や内膜症、卵巣腫瘍、乳がん、乳腺両性腫瘍、そして風疹や肝炎などの感染症、クラミジアやトリコモナス膣炎などの性感染症など、実にさまざまです。自治体から受診チケットが送られてくる場合もあるでしょう。ただ、こういった補助の対象となるのは40歳以降である自治体がほとんどです。できればもっと早く、1年に1回の受診を受けていただくと安心です。

忙しい女性こそ、セットされた「レディースドック」の活用を!

この数年で「ブライダルドッグ」という言葉がかなり一般的になり、結婚前に検診を受ける方が増えてきました。当院にも「ブライダルドッグ」のメニューがあり、内診・超音波検査で子宮、卵巣の状態を診て、筋腫や腫瘍、また子宮の奇形がないかを調べたり、おりものの検査でクラミジア、カンジダなどの感染症を診たり、また血液検査では梅毒、HIVなどの感染症や風疹、麻疹などの抗体チェックもします。

妊娠してからこれらの病気が見つかると妊娠経過に支障をきたす場合もあるので、これから妊娠を望む女性はぜひ受けてください。 そのほかに、当院では「ベーシックドック」といって子宮頸がん、乳がん検診をセットにしたもの、「トータルドック」といって子宮頸がん、子宮体がん、マンモグラフィー、更年期の女性ホルモンチェックなど、主に40代以降の女性におすすめのメニューをセットにしたドックもあります。これらのセットは、約半日ですべて受けられるというメリットがあります。結果も特別な問題がない限りは郵送でお送りすることもできるので、仕事で忙しい昨今の女性には、このような「レディースドック」をぜひ活用していただきたいと思います。

的野博(的野ウィメンズクリニック 理事長)産婦人科専門医 母体保護法指定医 麻酔科標榜医 マンモグラフィー読影認定医 日本医師会認定産業医 北里大学医学部卒業後、同大学病院 麻酔科入局。国立立川大学麻酔科、横浜赤十字病院産婦人科、順天堂大学産婦人科、国際親善病院産婦人科医長、小川クリニックを経て、2011年 的野ウィメンズクリニックを開院。開院後、乳がん検査の必要性を感じ、クリニックで検査が受けられるよう自ら勉強し、マンモグラフィー読影認定医となるほど熱心な先生。