生理は、出血の煩わしさ以上に「生理痛」「生理不順」などのトラブルによる負担が大きいもの。その症状が起こる原因や対処法にはどんなものがあるのでしょうか。かとうのりこレディースクリニックの院長・加藤律子先生に詳しくお聞きしました。
色や状態などで体の異常がわかるオリモノ
「オリモノ」は、子宮、腟からの分泌物が混じり合った粘性のある液体で、ある程度出てあたりまえ。生理の周期やホルモンの状態などによって量や状態が変化することもあり、正常な状態のオリモノは透明や白っぽい色をしています。
ただ、膣内で菌が繁殖することで起こる腟炎や性感染症などにかかると、黄緑色や豆腐のカスのような状態で匂いのあるオリモノやかゆみが出ることがあり、病気を見極めるサインにもなります。特に血が混じったオリモノは子宮の病気が疑われる場合も。いつもと違うオリモノが出た場合には、「生理だからかな?」と油断せず、早めに原因を特定して治療することが大切です。
生理痛は器質性と機能性の2種類がある
「生理痛」は月経困難症ともいわれ、生理の周期に伴って毎回同じ時期に起こる、主に痛みを伴った不快症状です。
生理痛には大きく分けて2種類あり、ひとつは、子宮や卵巣にあるなんらかの異常が原因で痛みが強くなる器質性のもの。もうひとつは、子宮や卵巣に異常がなくても起こる機能性のもの。これは、子宮の内膜から産生されるプロスタグランジンという物質が原因といわれます。プロスタグランジンは子宮を収縮させ、不要になった子宮内膜を体外に押し出す働きをします。つまり、本来はスムーズな生理をサポートする物質なのですが、これが過剰に分泌されると、子宮が強く収縮して痛みを引き起こします。
対処としては、まずは器質性か機能性かを見極めることが重要。子宮や卵巣に特に異常がなければ、我慢せず、早めに痛み止めを飲むことで解決します。
生理があっても排卵の有無は別問題
「生理不順」とは、要するに生理の周期が整っていないということですが、生理の周期は個人差が大きく、25~38日であれば正常な周期とされています。24日以下の周期は「頻発月経」、あまりに長い場合は「稀発月経」ともいわれますが、いつも同じ周期で生理が起きているのであれば、それほど問題ではありません。ただ、きちんと生理が起こっていても、排卵があるかどうかは別問題です。排卵がない場合は、不妊治療などの対象にもなります
。最近は、結婚前の女性を対象にしたトータルな婦人科検査「ブライダルチェック」を実施する産婦人科も多いので、受診してみるのもおすすめです。
異常を感じるようなら自己判断は危険
生理中のトラブルはいずれも、体調の変化やストレス、年齢などの影響も大きく、成熟した女性なら誰もが経験するものですが、時には病気のサインとして表れる場合もあります。
異常を感じるようなら自己診断は禁物です。産婦人科できちんと原因を突き止め、早めの対処をしましょう。
加藤律子(かとうのりこレディースクリニック院長)名古屋市立大学医学部卒業後、同大学の産科婦人科、一宮市立市民病院産婦人科、名古屋市立緑市民病院産婦人科部長を経て、2005年、名古屋ターミナルビルに「かとうのりこレディースクリニック」を開業。2010年に現在地であるメイフィス名駅ビル3階へ移転。日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医。