出産を安心して迎えるため知っておきたい 婦人科系の病気と対策(乳がん編)

知っておきたい乳がんの兆候

最近特に注目されている「乳がん」。20~30代の若年の方もかかる可能性があり、妊娠中の人が罹患している場合もあります。妊娠によって乳がんになりやすい、というわけではなく、妊娠中から産褥期(授乳期)は乳腺が発達していて、乳房が張って痛みを伴い、乳房腫瘤(しこり)を見つけにくくなります。そして、気づいた時にはがんがかなり進行してしまっている場合が多いのです。
すべての乳房腫瘤(しこり)が乳がんというわけではありません(良性の可能性もあります)が、以下のことに気づいた場合は早めに医師に相談してください。

①乳房、周辺、腋の下に腫瘤(しこり)が触れ、皮膚が厚くなったように感じる。
②乳房の皮膚が前に比べて陥没(へこみ)し、妙なしわがよる。
③乳首が以前よりへこんでいる(陥没乳頭)。
④乳房全体の皮膚が腫れたり、赤くなっていたりする。また大きさや形が以前と異なる。

妊娠中に「乳がん」の疑いがあったら…

もし、妊娠中に乳がんが疑われる場合には、なるべくX線撮影は避けた方が良いため、超音波検査が行われます。当院では、一般的に妊娠が進行するほどがんが発見しづらくなるため、妊娠15~16週未満での超音波検査をおすすめしています。
そこで腫瘍を発見した場合、何か怪しいと思われる場合は、乳腺外科を紹介します(良性の場合は23週から3~4週間ごとに経過を追う超音波検査を行います)。そして産褥期も検診を続けていきます。

妊娠前に「乳がん検診」を

妊娠中に乳がんの発見が遅れて予後が悪くなるという傾向がありますが、できるだけ早く発見し、治療すれば予後がよくなるケースもあります。しかし、まず妊娠を考えている人、そして特にご家族に乳がんに罹った方がいる場合は、必ず「乳がん検診」を受けましょう。そして、乳房の変化に気付けるようにしてください。
的野博(的野ウィメンズクリニック 理事長)産婦人科専門医 母体保護法指定医 麻酔科標榜医 マンモグラフィー読影認定医 日本医師会認定産業医 北里大学医学部卒業後、同大学病院 麻酔科入局。国立立川大学麻酔科、横浜赤十字病院産婦人科、順天堂大学産婦人科、国際親善病院産婦人科医長、小川クリニックを経て、2011年 的野ウィメンズクリニックを開院。開院後、乳がん検査の必要性を感じ、クリニックで検査が受けられるよう自ら勉強し、マンモグラフィー読影認定医となるほど熱心な先生。