無月経には「原発性無月経」と「続発性無月経」があります
本来、月経があるべき年代の女性に月経がない状態を無月経と言います。
無月経は大きく「原発性無月経」と「続発性無月経」の2種類に分けられます。
●原発性無月経
日本では平均して12歳で初潮が起こりますが、初めての月経が18歳になっても起こらない場合、原発性無月経と診断されます。これはつまり、生まれてから月経になったことがない状態のことです。
処女膜閉鎖(モリミナ)が月経血流出の障害になっている場合、月経同様に周期的に下腹部痛がみられますが、外への出血は起こりません。
もちろん、初潮が遅れているだけの場合もあります。その場合は、乳房の発達や陰毛の発毛など、他の二次性徴の出現も遅れていることが多いです。
●続発性無月経
実は無月経のほとんどが「続発性無月経」です。以前は継続してきていた月経が、何らかの理由で3カ月以上起きなくなった症状を言います。授乳などによる無月経も続発性無月経に含まれますが、これらは「生理的無月経」と呼ばれ、極端な長期の場合を除き治療の対象にはなりません。
続発性無月経の主な原因はストレスと過激なダイエット
特にストレスがたまったり、生活が不規則になると、脳の視床下部がたちまち機能不全を起こし、無月経を引き起こしてしまいます。最近、高校生などに多いのが過度なダイエット。
痩せたいからといって食事制限などによるダイエットを続けると栄養不足になります。そうなると生命維持に重要な心臓や脳への栄養が優先され、卵巣などの生殖器官まではなかなか栄養が届かない状態におちいります。その結果、無月経になってしまうというわけです。肥満度を示すBMI値が18を切ったら要注意です。
また、もともと卵巣の機能が低下しやすい「多嚢胞性卵巣症候群」(PCOS)が原因で、続発性無月経を引き起こしている女性もたくさんいます。
さらに、甲状腺疾患などが原因で無月経を引き起こしている場合もあるので、無月経を放置せず、必ず婦人科で診てもらいましょう。
無月経で妊娠はできるのか?
まれに無月経が続いていた女性に排卵があって妊娠したケースもあります。しかしながら、無月経の症状があるときに自然な排卵を期待して妊娠を目指すことは確率的にかなり難しいでしょう。
まずは無月経の原因を突き止め、それに応じた治療を行い、正常な排卵が行われるよう治療しながら妊娠を目指す。それが基本的な方法です。
無月経の治療はオーダーメイドスタイル
急激なダイエットやストレスなどが原因で続発性無月経が起きている場合はホルモン剤の投与によって排卵を促します。体重が過度に落ちている場合は、体重を元に戻すことが先決なので、体重調節の指導を行います。
体重が戻れば自然に月経が回復してくることも多いのです。実際、BMI値が16だった女性が、体重を増やして18になった途端、月経が起きた例があります。
もちろん、自分でストレスをためない生活を実践することも大切。適正な睡眠時間を確保したり、喫煙者は禁煙を試みるなど、生活習慣の改善で無月経が解消されるケースもまた多いのです。
品川先生より まとめ
女性の中には「月経がない方が楽でいい」と考えている人も多いようですが、無月経が続く=女性ホルモンのバランスが崩れている、ということです。それが不妊の原因にもなるのはもちろん、もう一つ怖いのは、骨密度が著しく低下してしまうこと。女性ホルモンには骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあるのですが、それがうまく機能しないために骨がもろくなってしまうのです。無月経も早めの対処が大切。できれば40日間を目安に、月経がなければ婦人科を受診してほしいと思います。