性器のまわりにできるデキモノのなかに尖圭コンジローマという性感染症があります。クラミジアなどと同じく、性行為によって発症する病気で、若い女性に患者数が多いと言われています。そこで、尖圭コンジローマの治療について入江先生にお聞きしました。
尖圭コンジローマってどんな病気?
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することによって発症する病気です。
できやすい場所は性器の大陰唇や小陰唇、腟の入り口(腟前庭)、尿道口、肛門付近です
色は、白や赤っぽかったり黒ずんでいる場合もあります。大きさはさまざまですが、比較的多いのはゴマや米粒の大きさで、なかには小豆くらいになることもあります。数個のイボがプツプツとできたり、塊になってカリフラワーやトサカのような状態を形成することもあります。
尖圭コンジローマのできやすい場所 引用:みんなの家庭の医学https://www.asahi.co.jp/hospital/archive/kaisyo/jyosei/gaiinbu/index.html
コラム
ヒトパピローマウイルス(HPV)
子宮頸がんの原因にもなるウイルスで、100種類以上の型がある。発癌のリスクにより、ローリスク型とハイリスク型に分けられる。尖圭コンジローマの原因ウイルスはHPVの6型、11型で癌化のリスクはないローリスク型である。16型はハイリスク型に分類され、子宮頸がんの原因ウイルスとして一番頻度が高い。
病気の診断と治療法は?
尖圭コンジローマは医師の視診によって診断されます。
治療法は、イボを切除する外科的治療と、薬を塗る薬物治療があります。(外科的治療は日帰りで行われます。)
●軟膏…1日おきに、イミキモドクリームをイボに塗布。強い薬効によってウイルスの増殖を抑えるため、患部を含めた皮膚に強い刺激を与えることがあります。
尖圭コンジローマという病気は、治療しても再発するケースが多いことがやっかいなところです。しかし、治療後、約6ヵ月経って再発しなければ、その後の再発率は低いです。
外科的治療のなかでCО2レーザー蒸散法は、他の方法より治療効果の高い優れた術法です。外科的治療後、2~3週間は性行為を控える必要があります。
尖圭コンジローマに似た病気と、注意することは?
腟前庭乳頭腫症の原因は不明ですが、感染性のないデキモノなので、治療の必要性はありません。
コラム
腟前庭乳頭腫症
尖圭コンジローマと見ためはよく似ているが、腟前庭乳頭腫症は、小陰唇の内側に左右対称に発症するケースが多い。
ただ、妊娠中に尖圭コンジローマが発症した時には注意が必要です。子宮頸部などの腟内(産道)に尖圭コンジローマが発症すると、出産時に赤ちゃんが感染して、再発性呼吸器乳頭腫症をおこす可能性が高まるからです(➡コラム)。
赤ちゃんの喉にカリフラワー状のイボができて、大きくなり気道をふさぐようになると、呼吸困難になります。再発することが多く、手術を10回以上くりかえすこともあります。
分娩までに完治させるか、場合により母子感染を防ぐため帝王切開による分娩を考慮することがあります。
コラム
尖圭コンジローマを発症した妊婦は感染リスクが約230倍
尖圭コンジローマを発症している妊婦は、発症していない妊婦に比べて、赤ちゃんが再発性呼吸器乳頭腫症にかかるリスクは約230倍という海外のデータがある。
入江先生より まとめ
尖圭コンジローマの予防は、性行為の時にコンドームをすることです。しかし、肛門付近など、コンドームで防御できない部分にも発症するので、予防は100%ではありません。イボに気づいた時は、すみやかに婦人科を受診して治療したほうが良いでしょう。