「子宮筋腫」身近な病気を知ろう

良性腫瘍のひとつである子宮筋腫。大人の女性の3~4人に1人は見つかる身近な病気です。自覚症状や見つかった時の治療法について、戸塚共立レディースクリニックの清河康先生に詳しく伺いました。

月経の量が増えた、月経痛がひどくなったという人は注意!

子宮筋腫は子宮に発生する球状のコブで、できる部位により3つのタイプに分けられます。一番頻度が高いのは、筋肉の中にできる筋層内筋腫。小さいうちは筋肉の中に隠れていますが、成長すると子宮そのものが大きくなり変形し、お腹を触るとそれがわかるようになります。巨大なものは、まるで妊婦さんのお腹のようなケースも。

そのほかに、子宮の内腔にでき、不妊や流産の原因になりやすい粘膜下筋腫や、子宮の外側にでき、ときにねじれて下腹部痛を生じさせる漿膜下(しょうまくか)筋腫があります。

子宮筋腫ができると月経の出血量が多くなり、凝血塊といって血の塊がたくさん出てくることがあります。このため、貧血になることがあり、動悸や息切れなどの貧血症状で筋腫がみつかることも少なくありません。また人によっては月経痛がひどくなるケースもあります。過多月経とひどい月経痛は筋腫を疑うサイン! 気になる方は病院で一度検査を受けることをおすすめします。

治療は薬物療法から手術まで、症状に合わせて

良性の子宮筋腫は、頻度は高いものの、見つかったからといって「すぐに手術して取らなければ」ということではありません。トラブルがない限り一生仲良く付き合っていくような病気だと思います。治療は、症状の強さや妊娠・出産の希望の有無、年齢などを考慮し、総合的に判断します。

貧血や月経痛などに対しては薬物治療が基本となります。薬物療法の効果が得られない場合、筋腫が不妊や流産の原因と考えられる場合、悪性を否定できない場合などは手術療法を選択します。例えば、妊娠出産を希望する場合は、子宮を温存し筋腫だけを取る筋腫核出術、40歳代で妊娠の希望がなければ子宮全摘術が一般的です。適応があれば、腹腔鏡手術で行うこともできます。

子宮内腔に突出する粘膜下筋腫は、大きさにもよりますが、子宮の入り口からカメラを挿入して行う子宮鏡手術で対応することも可能です。入院の期間は施設にもよりますが、腹腔鏡手術は数日間、子宮鏡手術なら日帰りから2、3日と短期です。

子宮頸がん検診の際にオプションで超音波検査を

子宮筋腫は小さいうちはもちろん、かなり大きくなっても自覚症状のないことも少なくありません。そこで早期発見のためにおすすめするのは、定期的な超音波検査です。2年に1回行われる子宮頸がん検診をきちんと受け、その際にオプションとして超音波検査で診てもらいましょう。筋腫のみならず、卵巣の病気を見つけることもできます。
 
清河康先生(戸塚共立レディースクリニック 院長)千葉大学卒業。慶應義塾大学病院産婦人科、佐々総合病院を経て、平成29年より現職。日本産科婦人科学会専門医。日本周産期・新生児学会会員。母体保護法指定医。戸塚共立レディースクリニックは分娩や手術にも対応する女性のトータルヘルスケアを提供する施設として、平成29年4月に新規開院。