排卵日付近の、激しい頭痛に悩まされています

毎月、頭が割れそうな頭痛と頭痛から来る吐き気と戦っています。吐き気も押さえられず1時間に数回トイレに駆け込むくらい激しいです。試しに排卵検査薬を試したところ陽性でしたので、排卵がとても近いと思います。
以前から月に一度は頭痛がしてましたが、ただの片頭痛かと思っていました。ホルモンバランスの変化による頭痛だとは思いますが、酷い時は翌朝まで続き、夜もあまり寝れずとてもしんどいです。
下腹部の排卵痛などはまったくありません。産婦人科に行っても特に何かをしてくれるという訳ではないというのも聞きました。本当に辛くて、これがあと何十年も続くと思うと怖いです。

頭痛はなぜ起こるのでしょう。また頭痛の種類などについて教えてください

当クリニックの患者様の7割は女性というほど、女性は頭痛持ちの方が多いと感じます。女性の頭痛の多くは「セロトニン頭痛」「エストロゲン頭痛」のいずれかに当てはまります。片頭痛持ちの方の多くは「セロトニン頭痛」で、内的外的要因ともに過度なストレスを受けることで、脳内のセロトニンが過剰に放出され、血管の収縮拡大が起こり頭痛が起こります。アルコールの飲み過ぎや強い太陽の光を浴びた後に起こる頭痛などもセロトニン頭痛に当てはまります。これはたいていの市販の頭痛薬が効き、突然の痛みにも対処できやすいものです。

しかし、もうひとつの「エストロゲン頭痛」はそういった薬が効きにくく、また治りにくいやっかいな頭痛。排卵日や生理前後など女性ホルモンつまりエストロゲンの分泌量が大きく変動する時に起こりやすいため、相談者さんはまさにこのエストロゲン頭痛に悩まされているのです。

妊娠を考えている人は頭痛とどう付き合えばいいのでしょう?

頭痛薬を摂取し続けることで耐性ができ、どんどん薬が効かなくなって痛みが増し、さらに薬を過剰に摂取するというループに陥る「薬物乱用頭痛」状態の方がたくさんいらっしゃいます。特に月に15回以上鎮痛剤を飲む方は危険域です。しかし、妊娠を希望されている方はなるべく鎮痛剤を飲みたくないでしょうし、過剰な鎮痛剤の摂取で奇形や心臓疾患を持つ子などが生まれる可能性があるのも確かです。

エストロゲン頭痛対策でピルを処方されることがありますが、妊娠を希望されている相談者さんには使えません。ゆっくりとした道のりになりますが、おすすめは漢方です。10種類ほどの漢方の中から患者様ごとの症状と体質にあったものを処方するのですが、早い方では1カ月ほどで効果が出てきたと喜ばれる方も多いですね。

妊娠希望の人が飲める「インデラル錠」という片頭痛治療薬がありますが、まずは医師に相談し、自分に合った治療をしていきましょう。

頭痛を予防する暮らし方。子どもの頭痛も気をつけて

生活していく上で頭痛を起こさないようにするよう、エアコンやクーラーなどによる激しい気温差のある環境に身を置かない、カフェインをとりすぎない、アーモンドや納豆、玄米などマグネシウムを含んだ食品を多くとるように心がけるなどがあります。また「頭痛体操」と呼ばれる運動を朝晩5分ずつ行うだけでも違います。頭痛に悩む方が最も増えるのが4月。環境が忙しくなり、睡眠不足などが重なり頭痛が起こりやすくなるようです。しっかり睡眠をとり、冷えを改善するような生活が大事です。

また、下痢や腹痛が多い、夜泣き、車酔いなどが気になるお子様はもしかしたら将来の「頭痛持ち予備軍」かもしれません。これは自律神経系と片頭痛が関係あると言われているもので、お腹が弱い、めまいを訴えるなど当てはまることが多ければ、一度お近くの頭痛専門外来や脳神経外科などで相談してみましょう。

陣内 敬文 先生(天神頭痛クリニック)長崎県出身。長崎大学医学部卒。脳外科医。1995年陣の内脳神経外科クリニック(福岡県春日市)開院。そこで出会った薬物乱用頭痛に悩む人や、ドクターショッピングに疲れている患者様たちの悩みを解決したいと2014年天神頭痛クリニックを開院。クラシックが大好きで自身もチェロを演奏。毎週末オーケストラのコンサートに足を運んでいるそう。