“ペインクリニック” 痛みをとる治療 とは?

痛みを感じる仕組みとは?

ふだんの生活を送る中で“痛み”を感じたことがない人はいないでしょう。女性に多い頭痛、腰痛、肩こり…などの症状がありますが、これらはすべて“痛み”のひとつです。

局部で痛みを感じると、痛みの信号は脊髄に渡り、さらに脳に伝達されます。脳はその信号をストレスに感じ、交感神経を刺激することでさらに痛みを増強します。痛みの箇所では血管が収縮し、筋肉は過緊張になることで血流も悪くなります。

このため血管を通して送られる酸素や栄養分も不足し、痛みを起こす物質は流れていかずに蓄積して“痛みの悪循環”が続いてしまうのです。

当院の患者さんでは、上記の痛みのほかには婦人科系の月経困難症による痛みがある方、高齢の方では関節の痛みを訴える方も多く、幅広い世代の方が多くの痛みを抱えていらっしゃいます。

痛みのポイントに注射する“トリガーポイント注射”

ペインクリニックで行う、痛みに対する治療法はいくつかありますが、全身に適用できるのがトリガーポイント注射(圧痛部局所筋膜内注射)です。

トリガーポイントとは押さえると痛い部位のことです。また押したところ以外の関連部位にも痛みが広がります。

そしてトリガーポイントは東洋医学の「ツボ」につながると言われています。局所麻酔薬をトリガーポイントに注射で入れると、痛みは一時的に遮断され、神経を休めることができます。上記の“痛みの悪循環”を断ち切ることで慢性的な痛みを取り除くのです。肩こりであれば、肩井と呼ばれるツボやそのまわりのツボ、頭痛であれば、後頭部の出っ張りの外側などに注射をしていきますが、トリガーポイントはその人によって異なるため、触診でポイントを探していきます。注射は細い特殊な針を使用するため、予防注射よりも痛みが少ないと言われています。そして、最初は3日~1週間に1回打ち、徐々に回数を減らしていきます。

幅広い痛みに対応する“星状神経節ブロック注射”

痛みを取る方法としてはブロック注射もあります。

ブロック注射には星状神経節ブロック注射、腰部硬膜外神経ブロック注射という2種類があります。

その中でも星状神経節ブロック注射について詳しくご説明しましょう。具体的には、のどにある交感神経に局所麻酔を用いて注射を打ちます。これによって一時的に痛みを緩和することで、人間が本来持っている自己免疫力を高め、治癒力を上げていくという治療です。

この星状神経節ブロック注射の適応範囲は大変幅広く、頭痛や肩関節痛などの痛みの問題にとどまらず、皮膚疾患、自律神経失調症、不眠症、パニック障害などの神経系、アレルギー性鼻炎、メニエール病などの耳鼻科系、そして月経困難症、更年期障害、女性不妊などの女性疾患にも対応できます。その方の痛みの原因にもよりますが、この星状神経節ブロック注射により、不妊を克服された方もいます。

痛みは放置しておくと、日常生活にも困難を来たします。ペインクリニックは幅広い痛みに対応できるので、気になる方は治療の選択肢としてぜひ考えてみてください。

的野博先生(的野ウィメンズクリニック 理事長)産婦人科専門医 母体保護法指定医 麻酔科標榜医 マンモグラフィー読影認定医 日本医師会認定産業医 北里大学医学部卒業後、同大学病院 麻酔科入局。国立立川大学麻酔科、横浜赤十字病院産婦人科、順天堂大学産婦人科、国際親善病院産婦人科医長、小川クリニックを経て、2011年 的野ウィメンズクリニックを開院。開院後、乳がん検査の必要性を感じ、クリニックで検査が受けられるよう自ら勉強し、マンモグラフィー読影認定医となるほど熱心な先生。