生理はきてるのに、無排卵? それって、どういう影響があるの? 自分では気づきにくい無排卵月経について、かとうのりこレディースクリニックの加藤 律子先生にお話を伺いました。
無排卵月経とはどんなもの?
月経とは一定の周期で規則的に起こる子宮からの出血のことをいいます。本来卵巣が排卵することでホルモンが変動し子宮内膜が変化して起こります。月に1回あるのが正常です。
「無排卵月経」とは、その字が示す通り、月経のような出血はあるのですが、排卵は起きていない状態を指します。
排卵はないけれど出血はあるため、自分が無排卵月経かどうかには意外と気づきにくいという難点があります。
無排卵月経はどうして起こる?
無排卵となる原因の多くは、脳の視床下部や下垂体の機能異常と考えられており、ストレス、ダイエット、急激な体重の変化、激しい運動、喫煙、不規則な生活などといわれています。
排卵が正常に起こるためには、脳が卵巣へと女性ホルモンを分泌するように指令を出し、それを受けた卵巣が卵胞を育てるのですが、脳や卵巣がうまく機能しないと、卵胞の発育や排卵がうまくいかず、月経不順や無排卵月経を引き起こしてしまいます。
ですから、まずは、原因となっているストレスを取り除き、生活スタイルを改善することが肝要です。特に、若いうちの無理なダイエットは、知らず知らずのうちに体に重い負担をかけていることもあり、ホルモンバランスを乱す大きな原因となります。
無排卵月経だとどんな問題が起こる?
無排卵月経で一番の問題となるのは、卵子が排出されない状態なので、不妊の原因に繋がってしまうことです。
また、自分では気づかないままホルモンのバランスが乱れた状態が長年続くと、回復もしづらくなります。
無排卵月経かどうかを確かめるには?
一番自覚できる症状は、月経不順です。
生理の周期が短い、もしくは長い、生理の量が極端に少ない、ダラダラ続くなどが主なサインですが、多少の月経不順は問題ないことが多いです。
また、毎月の生理が正常周期できていても無排卵というケースもあります。
そこで、無排卵月経かどうかを自分で確認するためには、基礎体温を測ることが大切です。
基礎体温では、排卵を境に低温相と高温相という二相性に分かれるのが正常な状態です。排卵が起きると黄体ホルモンが分泌され、基礎体温が上がりますので、高温相があれば、まずは排卵しているといえます。
基礎体温自体が体調によって多少の上下はしますが、測り始めて数ヶ月経っても低温のままの状態が続く場合には、無排卵月経が疑われます。
無排卵月経は治療できる?
婦人科で行う治療法としては、妊娠を考えるかどうかで大きく分かれます。
妊娠を考えるのであれば、排卵誘発剤を使って排卵を起こさせるという方法があります。
妊娠をすぐには考えない場合は、ホルモン療法というものがあります。薬によって排卵しているときと同じような状態を作り出すことで、そのリバウンド現象を利用して、その後の自然排卵周期の回復を期待することができます。
ホルモン剤などの投与に抵抗がある場合には、漢方薬による体質改善という方法もあります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など婦人科的な症状の改善を促す漢方薬は、当院でもよく処方します。
漢方薬によって月経の状態が整ったという症例も数多くあります。
放置すればするほど治療も長引く
無排卵月経は放っておいた期間が長ければ長いほど、治療も長くかかってしまいます。
自分の排卵や体調を見ていく上でなにより大事なのは、基礎体温をつけることです。そして、基礎体温の異常や月経不順がある場合には、早めに婦人科を訪れることをおすすめします。
特に、将来的に妊娠を望むならば、早期の治療をすることが不妊原因のひとつを取り除くことにも繋がると思います。