デリケートゾーンのかゆみは気軽に相談しづらく、そのままにしてしまっている人も多いのではないでしょうか。かゆみの原因や市販薬の使用の可否、病院受診の目安などを浜松町大門レディースクリニックの池田貴子先生に伺いました。
デリケートゾーンのかゆみ、考えられる原因は?
デリケートゾーンにかゆみが生じる原因として考えられる要素は、大きく分けると4つあります。
まずは、乾燥です。デリケートゾーンの皮膚が乾燥すると、外からの刺激に弱くなります。そうなるとちょっとしたことで炎症を起こし、かゆみを生じる可能性が高くなります。
また、最近の女性はきれい好きのため、入浴時、石けんでの洗いすぎが元で乾燥しがちになるケースもあります。
2つめは腟カンジダです。腟や口の中に常在しているカビの一種のカンジダ菌が、疲れやストレスなどによる抵抗力の低下がもとで増えてしまい、かゆみが出るものです。かゆみ以外の症状がみられる場合もあります。白っぽいおりものや、外陰部に生じる、ヒリヒリとした刺激性の痛みなどの不快感をともなう場合があります。
3つめが「細菌性腟炎」です。さまざまな菌が腟内に付着して、それが原因で炎症がおこり、かゆみをはじめ、かぶれなどの症状があらわれます。
4つめが、クラミジアや梅毒などの「性感染症」に感染したことが原因でかゆみが発生するものです。
上記4つ以外に、汗によるムレ、生理用のナプキンやおりものシートによる接触性皮膚炎、自分でアンダーヘアを剃毛したことなどが原因でかゆみが生じることもあります。
かゆみだけでも病院を受診しても大丈夫?
上記で述べたようにかゆみの原因はさまざまです。その原因によって治療や対策法も異なるので、かゆみや不快感を感じたら、すみやかに産婦人科や婦人科の病院を受診してください。適切な治療がより早く治す近道といえます。
なかには「かゆみだけだし」「時間がかかりそうだから」と、病院へ行こうか迷う人もいます。でも、かゆみの原因をつきとめる検査自体は短時間で終わりますし、結果も近日中にわかるので、面倒なことはありません。
また、病院を受診せずに、市販薬やドラッグストアで販売されている軟膏を塗ってかゆみを緩和させようとしている人もいます。こういった市販薬や市販の軟膏は、病院を受診するまでの「応急処置」と考えましょう。あくまでも受診をし、医師の治療を受けるのが基本です。
デリケートゾーンの上手なかゆみ対策法が知りたい
どの原因にも共通しているのは、体を温めるとかゆみが増すので、長風呂は避けるべきということです。
就寝中、ふとんに入って温かくなるので無意識にデリケートゾーンをボリボリとかいてしまう人も少なくありません。そんな時は下着やパジャマの上から保冷剤を当てて冷やすと、かゆみが和らぎます。
また、「かゆみ=不潔にしているから」と考え、石けんやボディソープでデリケートゾーンをゴシゴシと強く洗う人も多いです。石けんでゴシゴシと強く洗いすぎると、よりいっそう乾燥して肌がダメージを受けやすいので、ぬるま湯でやさしく洗うようにしてください。
通気性をよくすることもかゆみ対策には大切です。通気性の良い下着を身に着けてください。
また、通気性を妨げるおりものシートの使用は避けましょう。特にカンジダ腟炎の場合には、よりいっそう菌が繁殖するのでNGです。
さらに、アンダーヘアをご自分で剃ったり手入れをするのはご法度です! やり方次第では毛先が肌にチクチク当たり、それがかゆみにつながることもあります。剃毛したい時は美容皮膚科の専門家にやってもらいましょう。
もし、かゆみを放っておいたらどうなる?
かゆみは早く治さないと長引くことが多くなります。実際に、腟カンジダで受診された方で、カンジダ菌そのものは治療によっていなくなったのに、かゆみだけがいつまでも残ってしまった方がいました。ですから、早めに受診をすることがとても大切です。
さらに、知っておいてほしいのは、デリケートゾーンのかゆみの原因が性感染症だった場合、そこから子宮頸部異形成、子宮がんなどの大きな病気に発展してしまうことがあることです。
そのため当クリニックでは、性感染症がわかった場合には、1年以内に子宮がん検診を受診しているかをお伺いし、されていない時はこのタイミングで検診を受けるようにお話ししています。検診は保険内診療ですし、短時間ですみます。
検診で異常が見つかったとしても、子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成の時点で発見できれば、今後の生活を見直すきっかけにもなり、がん化するのを防ぐことにもつながります。
池田先生より まとめ
デリケートゾーンのかゆみの原因はさまざまあり、大きく分けると乾燥、腟カンジダ、細菌性腟炎、性感染症の4つです。長引かせるといつまでもかゆみが続くケースが多いので、できるだけ早く産婦人科か婦人科の病院を受診しましょう。また、かゆみによる受診がきっかけとなり、子宮頸部異形成や子宮がんなど、他の病気やトラブルの早期発見につながることもあるので、ためらわず受診をしてくださいね。