40代の不正出血。原因は?放置していても大丈夫?

生理ではないのに血が出ていると驚かされるものです。不正出血は心配ない時もあれば、病気のサインの時もあります。不正出血のなかでも、40代女性に多い原因や起こった場合の対応を、シロタ産婦人科の代田琢彦先生にお聞きしました。

 

 

40代の不正出血にはどのような原因が考えられますか?

 

40代の不正出血の原因は、妊娠、病気、薬、女性ホルモンの影響などが考えられます。

なかでも、私たち産婦人科医が最初に疑うのは妊娠です。「絶対にありえません」と検査を拒む患者さんを説得して検査すると、やっぱり妊娠だったということはたくさんあります。40代はまだ妊娠する可能性があるのです。

妊娠するとなぜ不正出血があるのかというと、受精卵が子宮内膜に着床する時に血管を傷つけるためです。また、子宮外妊娠などでも出血します。

 

薬による影響については、心筋梗塞や脳梗塞を患って、血液をサラサラにするアスピリン系の薬を飲んでいると出血しやすい状態になり、生理の経血量が多くなります。

そもそも不正出血は、あきらかに生理周期である以外の出血をすべて指します。出血する場所は子宮や腟からで、鮮血だったり茶色っぽかったり、おりものの中に線のように血が混じっていたりと、人によってさまざまです。

不正出血がある時に考えられる病気は?

 

子宮からの出血で考えられる病気は、子宮筋腫、子宮内膜症(いずれも良性)、子宮内膜ポリープ(良性のことが多い)、子宮体がん(悪性)、子宮内膜増殖症(子宮体がんの一歩手前状態)などです。出血のほかに、生理が長くなったり、生理の経血量が多くなったり、激しい生理痛や強い貧血などの症状をともなうことがあります。

一方、腟鏡で直接確認できる出血で考えられる病気は、腟炎、外傷、子宮頸管ポリープ(良性のことが多い)、子宮頸部びらん(良性)、子宮頸がん(悪性)などです。帯下(おりもの)が気になる場合は性感染症を含む細菌、ウイルス感染も考えられます。

また、子宮と腟の病気とは別に、女性ホルモンの影響でおこる不正出血もあります。多くは卵巣の働きと関係していて、ホルモンの分泌異常で起こります。排卵の時期に起こる排卵期出血、排卵のない時期に起きる無排卵周期症の出血、黄体機能不全による出血などが考えられます。もともと生理不順のため、生理なのか不正出血なのか分からない人もこのケースに当てはまるといえます。

 

不正出血があった時の対応はどうすればいい?

 

腹痛や腰痛などの痛みもともなっていれば、わりとすぐに受診する人は多いのですが、痛みがない不正出血は、1年以上も放置してやっと受診したという人もいます。

心配はいらない不正出血のこともありますが、痛みがなくても病気が隠れていることもあり、検査をしてみないとわかりません。

 

そこで、不正出血がある人に対してはふたつのアドバイスをしたいと思います。ひとつは、生理以外で出血が続く場合や、「いつもとなにか違う」と感じたら放置しないで、体のなかで何が起きているのかをわかりやすくするため基礎体温(→コラム)を記録し、それを持参して産婦人科で検査することです。

ふたつめは、最低でも1年に1回はがん検診を受け続けることです。病気を早期に見つけるだけでなく、医師に不正出血のことを伝えるチャンスができるからです。

検査内容は以下の通りです。

細胞診─腟や子宮内の細胞を採る
内診─医師の指で腟内を触診する。通常、反対の手をお腹に当てて挟み込むように子宮、卵巣を確認する
超音波検査血液検査─腫瘍マーカー、貧血など

女性ホルモンの影響による不正出血の場合は、卵巣・脳下垂体ホルモン値を測定する血液検査もしますが、どの検査を行うかは医師と相談しながら決めてください。

 

≪コラム≫

 

■自分の体の状態がわかる基礎体温
基礎体温は、自分の排卵や女性ホルモンの働きを知ることができので、早期の診断と治療にとても役立ちます。面倒かもしれませんが、1~2カ月頑張って測定してみてください。これは、生理不順で生理なのか不正出血なのかわからない時の診断にも有効です。

■基礎体温表/代田産婦人科ホームページ
http://www.shirotaclinic.com/asset/taion.pdf
検査で病気がみつかった時は、手術で病巣を摘出したり、ピルやホルモン剤などの薬を処方して治します。ただ、軽症だったり、子宮筋腫など良性だった場合には経過観察する医療機関も多く、継続して検査することへの心配や負担を感じる人もいます。検査のタイミングは、医師とよく相談しながら経過観察するとよいと思います。

代田 琢彦先生(シロタ産婦人科院長)1993年聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学病院産婦人科での勤務を経て、座間市相武台で40年以上続く産婦人科の2代目院長に就任。つねに「自分の家族だったらどうするか」を考えながら診療にあたり、頼りになるドクターとして地域住民に支持されている。女性のためのトータルケアを目指す。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、聖マリアンナ医科大学非常勤講師、日本女性医学学会認定医。医学部時代はラグビー選手として活躍したスポーツマン。