女性の健康課題から見えてくる私たちの未来

性教育のあり方や子宮頸がんワクチンの是非など、何度か話題になりながらもうやむやになっている女性の
「性」にまつわる課題。それらについて、情報感度が高く、まっさらな視点で問題をとらえる女子大学生3名
が、衆議院議員で自民党幹事長代行を務めつつ、1児の母として奮闘する野田聖子氏にインタビュー。各課
題の 今”について教えていただきました

野田聖子議員1960 年福岡県生まれ。郵政大臣、消費者行政推 進担当大臣、総務大臣などを歴任し、現在は自民 党幹事長代行を務める。2011年に卵子提供を受 けて男児を出産。現在では政治家として不妊治療 をはじめ、さまざまな課題を解決するべく奔走中。
インタビュアー

ゆめさん(まめでんき)大学3年生。「Femtech」に出会った ことがきっかけで「まめでんき(※)」 の活動を始めました!(※)大学生 3 人でFemtech に関する情報発信 やイベントを実施している。

りのさん中島梨 乃・大学2 年生。 性で傷つく人・傷つける 人を1人でも減らすため、  SNSで性教育の発信活 動を行っている。

まいかさん(Partner’s Shoes)大学2 年生。サークルでジェ ンダーやセクシュアリティにつ いて学び、学校を中心に誰に とっても過ごしやすい環境づく りを目指して活動中。

性教育を充実させれば、さまざまな社会課題が解決する

●ゆめ 性教育を充実させることは国にとっても利益になると思うんですが、現在の日本の性教育がなかなか進まないのはなぜでしょうか。

【野田氏】これは、若い人たちにお詫びをしなきゃいけないことですね。日本では適切な時に、正しい性教育ができていません。たとえば、女性が一番妊娠、出産しやすい時期は16、17歳〜30代前半くらいまでなんだけど、私たちはそれを教わったことがない。ゆめさんは学校で教わった?

●ゆめ学校では教わってないですね…。

【野田氏】まだそういった性教育をしないんですよね。それを知らないから、妊娠、出産しやすい時期に仕事のキャリアを積むことに専念して、気づくと高齢出産の年齢に。日本で高齢不妊の患者さんが多い理由はそこにあるんですよ。もし知っていたら、たぶんキャリアプランの中に、妊娠する時期を入れていたと思うんだけど…。だからしっかり性教育をすることで不妊の患者さんを減らせるし、少子化の改善にもつながる。性教育の問題って多方面に影響を及ぼす重要な課題なんですよ。

●ゆめいろいろな問題につながっているんですね。「少子化」の話が出ましたが、女性が子どもを産むことへの対策が重視されるのは良いことですが、一方で産むつもりのない人への圧力にもなっている気がします。先生は政策を考える時はどんなことを意識していますか?

【野田氏】私は「産め」というのではなく、「産みたい、親になりたい」人を応援したいと思っています。たとえば、自分で子どもを産んで親になる、特別養子縁組で家族になる、私のように遺伝子的には夫としかつながっていない息子を産んで育てるなど、さまざまな家族のスタイルがあっていいと思う。これからは多様なスタイルの家族が日本を支えていくので、それを認めるような政策を考えることが重要。産む、産まないなど、生き方においても多様な選択ができる社会にしていきたいと思っています。

子宮頸がんワクチンはメリットとリスクを知ることが大事

●まいか以前、子宮頸がん予防ワクチンの接種をした人に重い副反応が出て以来、接種率が非常に低いですよね。でも子宮頸がんは命を落とすこともある病気なので、学校教育の中で取り上げて接種するかどうかを各個人で判断させるのがいいと思うのですが、ワクチンの安全性が認められない限り難しいのでしょうか。

【野田氏】子宮頸がんのワクチンについては、一部で副反応が起き、それをマスメディアが大々的に取り上げたことで、本来、科学的治験を経て認められたはずのワクチン接種に対して、厚生労働省が慎重になりすぎてしまったことに問題があると思います。100%副反応が起こらないワクチンはないんです。だから前もってメリットとリスクがあり、どんなリスクが想定されるかをよく知ってもらうことが大切だと考えています。

緊急避妊薬を必要とする人がすぐに手に入るようにしてほしい!

●りの2020年10月、政府が緊急避妊薬を薬局で販売すると表明したのに、日本産婦人科医会や日本産科婦人科学会の会長が反対意見を出したことで立ち消えになってしまいました。一時期、政府が販売OKの意向を示したのは、「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が集めた約7万件の署名のおかげだと考えているんですが、多くの女性たちの声よりも専門家の意見が反映されるのはなぜなのでしょうか。

【野田氏】 「どうして立ち消えになってしまったのか?」を追及するのが私の仕事だね(笑)。かつて低用量ピルも、承認までに何十年もかかったの。なぜそんなに時間がかかったかというと、「ピルを飲む女性はふしだらな人だ」などの女性に対する偏見があったのも大きかったと思います。緊急避妊薬の薬局販売が止まった理由ってわかる?

●りの「女性が悪用する可能性がある」という理由はニュース記事でよく見かけます。

【野田氏】失礼よね。りのさんたちにとってどういった形になるのが理想かな?

●りのいつ産むか、産まないか、これは女性の権利だと思うので、それを決められる緊急避妊薬は学校の保健室や薬局などですぐに手に入るようになるといいと思います。

【野田氏】そうだよね。私自身も、りのさんの意見に賛成です。今日は若い皆さんの意見を聞けて良かった。普段感じていることや、「こんな政策があったらいいな」など、皆さんの声を今後もぜひ届けてくださいね。

●全員ありがとうございました!

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