「最近、あそこがかゆい…」「合コンのあと、ノリでつい…」。身に覚えがある人もない人も、何となく心配な性感染症のこと。知らない間にうつしたり、うつされたりと、パートナーとの関係にも影響が出てしまいがち。症状や予防法、検査の受け方など、「アイレディースクリニック新横浜」の入江先生に解説していただきました。

アイレディースクリニック新横浜 入江 琢也 先生   慶應義塾大学産婦人科学教室入局。教室人事にて慶應義塾大学病院、足利赤十字病院、芳賀赤十字病院、けいゆう病院に勤務。シーズレディスクリニック恵比寿、渋谷文化村通りレディスクリニック勤務を経て、2016年に開院。「最新で良質な医療の提供」をコンセプトに、生理痛改善や避妊サポート、美容注射など幅広いニーズに応えている。

どうやってうつるの? 予防法は?

性感染症は「性的接触によって感染する病気」と定義され、性器だけでなくオーラルセックス、アナルセックスなど性的な接触で感染するすべてが含まれます。

信頼できる特定のパートナーであれば安心ですが、不特定多数の相手がいる人、合コンなどで知り合った人と1回限りのセックスで感染したという人も多く、特に性活動が活発な20代に感染者数が多いという現状があります。

最も現実的な予防法はやはりコンドームを使用すること。挿入の時だけでなく「最初から最後まで」を徹底しましょう。そして、途中で外れてしまうといった失敗を防ぐためには、ジャストフィットのサイズを使うことが大切です。

相手に言いづらい、途中で言えない、という女性も多いですが、受け身ではダメ。予防がコンドームしかないのだから男性が協力するのは当然です。雰囲気に流されたり、相手の言いなりになってしまうのではなく、コンドームを面倒くさがるような男は最初から相手にしないという心構えで、私からは「とにかく男任せはダメ!」と強く言わせてもらいます。

身近な性感染症

性感染症は、自覚症状がないものや薬で完治するもの、再発を繰り返すものなどさまざま。保健所では代表的なクラミジアや淋菌などが無料で検査できます。婦人科や泌尿器科では、保険適用なら薬代や再診料を入れて5000円前後が費用の目安。疑心暗鬼のセックスを避けるためにも、パートナーができたら検査を受けて安心を確認しあいましょう。

性器クラミジア感染症

最も多い性感染症。
潜伏期間:1~3週間。
症状:男性は排尿時痛や尿道のかゆみ、女性は無症状のことが多く、パートナーに症状が出て判明することもある。
放置すると:抗菌薬で完治するが、放置すると不妊、流産・死産の原因になることも。

性器ヘルペス

潜伏期間:2~10日。
症状:性器の強いかゆみ、不快感ののち水泡やびらん(ただれているような症状)など、痛くて放置できないほどの症状が出る。潜伏期間中でも感染させる可能性が高い。
治療:薬で治療するが再発を繰り返すことが多い。

淋菌感染症

潜伏期間:2~7日。
症状:男性は排尿時痛と濃尿、女性はおりものの変化や不正出血など。咽頭や直腸にも感染するが自覚症状がなく気づきにくい。
放置すると:抗菌薬で治療。不妊原因になることもあり、感染中に出産すると新生児が淋菌性結膜炎になることも。

尖圭コンジローマ(HPV=ヒトパピローマウイルス)

潜伏期間:3週間~8カ月と長い。
症状:性器や肛門の周囲に鶏のトサカのような腫瘤ができる。
治療:病変部の切除、レーザー、クリームなど。20~30%は3カ月以内に自然治癒するが、悪性転化(16型、18型は子宮頸がんリスク)もある。

腟カンジダ

番外編性感染症ではなく、カンジダ菌はもともと腟内に存在する常在菌。性行為でうつることもあるが、疲れて免疫力が低下した時や、抗生剤によって善玉菌が死滅した時など、性行為のない女性でも腟内のホルモンバランスが乱れた時に発症する。症状が出て市販の薬を塗っても改善されなければ受診を。ただし完治はしない。

教えて!性感染症の素朴なギモン

彼氏がヘルペスに!浮気したってこと?

無症状の自分がうつした可能性も。ヘルペスは感染しても約90%は無症状で、感染者の約70%は無症状感染者からの感染です。浮気を疑ってしまいがちですが、無症状の自分が感染源の可能性もあるということ。お互いの安全のためにもコンドームを正しく使って予防しましょう。

間接キスでもうつる?

感染リスクは極めて低いです。ヘルペスのように皮膚の接触でうつるものは直接的なキスで感染する可能性はありますが、口腔内に淋菌やクラミジアがあっても相手にうつすほどの強さはないので気にしすぎないで大丈夫です。

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