【Q&A】子宮内膜増殖症~大谷先生

大谷先生に、聞いてみました。

大谷 香 先生(かおりレディースクリニック院長)

福島県立医科大学卒業。1995年より米国エール大学産婦人科教室へ留学。婦人科がんの研究に従事。日本大学付属板橋病院、練馬光が丘病院に勤務後、2002年9月 東京・学芸大学にかおりレディースクリニックを開院。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。

ジュンさん(38歳)この前病院で子宮内膜増殖症と診断されました!
先生からの説明もあまりなく、今度、子宮内膜全面掻把術の手術をする事になりました。
癌の可能性があるのかと聞くと95%の確率で癌ではないとは言われました。
ではなぜ、子宮内膜全面掻把の手術をするのでしょうか?
薬では治らないものなのでしょうか?
選択肢もないまま手術の計画を立てられました!
不安でしょうがないです
子宮内膜増殖症は単純型と複雑型があり、正確に診断され、治療されたら、癌になる可能性はありません。
しかし、子宮内膜増殖症は、まず初めに、子宮の内膜の一部を取り病理学的に診断する(子宮内膜組織診)ので、採取されていない他の子宮内膜に、前癌状態である子宮内膜異型増殖症や子宮体癌などの病気が存在している可能性があります。
そのため、子宮内膜をすべて採取して、組織診では採取されていない残りの子宮内膜に、前述のような怖い病気が隠されていないか、しっかり調べることが必要です。この、子宮内膜をすべて採取するために行うことが、子宮内膜全面掻把術です。
その結果、子宮内膜組織診と同様、子宮内膜増殖症と確定診断されたら、無排卵性周期など月経異常が原因なので、必要に応じて黄体ホルモン療法等の治療を行っていきますし、子宮内膜全面掻把術そのものも、子宮内膜増殖症に対して治療効果があります。
もし、子宮内膜異型増殖症や子宮体癌が見つかったら、精査行い、最適な加療を決めていきます。
つまり、あなたの先生は、”子宮内膜組織診だけの結果からは、95%子宮内膜増殖症と思われるが、約5%の確率で、採取できていない子宮内膜に、子宮内膜異型増殖症や子宮体癌などの病気が隠されている可能性があるため、正確な確定診断を得るために、子宮内膜全面掻把術が必要です”と言っているのです。
今後も、あなたの先生との信頼関係を築き、最善の治療を受けるためには、検査や治療に関する質問や疑問を、臆することなく直接主治医に聞いてみてください。患者さんからの質問に真摯に答え、検査や治療に対する疑問や不安を取り除いて、正確な診断と最善の治療を組み立てたいと、私達医師は常々留意していますし、あなたの先生もそうであることを願っています。