生理痛がひどかったり、イライラしたり、生理に振り回されることがいやになってしまう女性は多いでしょう。
生理の不安・不満を解消して健やかに過ごすためには、女性の体のサイクルを知ることが大切です。生理の基本的なことについて、改めて都立大レディースクリニックの品川寿弥先生にお聞きしました。
排卵後、子宮の内膜がはがれて体外に排出されるのが「生理」
卵巣の中には、個人差、年齢差はありますが5〜10万個近くの赤ちゃんのもとになる卵子があります。そして、たくさんの数のなかから1個が選ばれて成長し、時期がきたら卵巣から卵子が出て(排卵)、子宮へと向かいます。
この時、子宮では卵子と精子が出会ってできる「受精卵」が育つための準備をします。それは「内膜」といって、血液に満ちたフカフカの布団のようなものです。ですが、受精卵にならなかった(=妊娠が成立しなかった)場合、準備された内膜はホルモンの働きによってはがれ、子宮の外に排出されます。これが生理という現象になります。
多くの女子学生は生理前の症状で困っている
当クリニックに相談にくる女子学生のほとんどが生理に関する悩みを抱えていて、つらさや不安を訴えられます。「生理に問題があると、将来の妊娠・出産に悪い影響があるかも」という漠然とした不安を抱いている人も多いです。彼女たちの悩みのほとんどは、「月経困難症」「PMS(月経前症候群)」「生理不順」の3つのどれかに当てはまります。なかでもPMSは最近、大学でも問題視しているほど、女子学生の多くが困っている悩みの一つです。
クリニックではそうした学生さんたちに女性ホルモンの働きを説明し、生理痛やPMSはピルや漢方薬、セルフケアでコントロールできることをお伝えしていますが、それだけで安心する学生さんも多いですよ。
このような生理なら専門家に診てもらおう!
PMSや月経困難症、生理不順は、QOL(Quality of Life=生活の質)の低下につながります。いま、つらいこと、困っていることは、我慢したり放置したりしないで、医師に相談してみましょう。そして「自分はこうしたい」ということを伝えて、不安材料を取り除いていきましょう。
下の「受診の目安」をチェックし、一つでも当てはまれば受診をおすすめします。婦人科に行くと必ず内診台の診察があると思って受診をためらう人もいると思いますが、必ずしもそうではありませんので、安心してください。
生理周期を意識して生活すれば生理の悩みに対処できる
女性ホルモンには卵胞ホルモン「エストロゲン」と、黄体ホルモン「プロゲステロン」の2種類があります。女性の体はこの2つのホルモンバランスの変化によって体温が低い時期、高い時期に分かれ、卵子が育って排卵するというサイクルを繰り返しています。
妊娠・出産に備えた大切な体の機能ではありますが、こうしたホルモンバランスの変化が心身に大きく作用し、これが生理痛やPMSなどにつながっています。生理周期は大きく4つの段階に分かれているので、この周期を意識して生活すれば、不調への対策ができてQOLの向上にもつながりますよ。
普段飲んでいる鎮痛剤があればクリニックに持参しよう
生理痛がひどくて毎回、市販の鎮痛剤を使っている場合は、受診時に薬か薬箱を持参しましょう。普段どんな市販薬を飲んでいるかがわかれば、その人の痛みにどの成分が効いて、どの成分が効きにくいのか、医師が判断する手がかりになります。