生理の不調は人と比較するのが難しく、症状のあらわれ方や感じ方も人それぞれ。
まずは「異常な生理」の目安を参考に、自分の生理をチェックしてみましょう。
若い女性に多い生理不順や生理痛は、早めの受診とお薬で治療できることもあります。

医療法人せせらぎ会 浮田クリニック 浮田 恵 先生 兵庫医科大学を卒業後、京都第一赤十字病院の産婦人科を経て浮田クリニックの常勤医師に。「相談しやすい雰囲気のなかで、妊娠、出産、更年期など将来を見据え、ライフステージに合わせたアドバイスと情報の提供を心がけています」。
山口 菜津子 先生 京都府立医科大学卒業後、京都第一赤十字病院の産婦人科を経て、浮田クリニックの常勤医師に。「自分の体を知ることは、生活習慣を見直したり、将来の妊娠を考えることにつながります。そのきっかけとして、生理と上手につきあうお手伝いができればと思います」。

自分の生理は異常?チェックしてみよう

異常な生理とは、「生理周期」「生理期間」「月経量」「生理にともなう症状」「初経の時期」などが、正常な生理の目安に当てはまらない状態をいいます。次の表のなかに当てはまるものがないかチェックし、不安があればクリニックを受診しましょう。

■ 生理周期が短い。月に何回も生理がくる。
■ 生理周期が長い。
■ 経血の量が多い。
■ 経血の量が極端に少ない。
■ 生理痛などで日常生活に支障が出る。
■ 15歳になっても初経がこない、初経後生理がこない。

若いと生理が不安定になりがち。気軽に婦人科に相談を!

若い女性に多い生理の悩みが「生理不順」と「生理痛」です。特に10〜20代は受験や進学、就職など、生活環境の変化にともなうストレスや、激しい部活動、無理なダイエットが原因で女性ホルモンのバランスが乱れ、生理に影響が出やすくなります。

最近は、子宮頸がんワクチンの接種と一緒に、婦人科に相談にこられる10代の人も増えています。「内診はちょっと…」という人は問診だけでも可能です。生理に少しでも不安があれば、気軽に相談してください。

初めて受診する時は、直近3カ月の生理開始日をメモしたノートやアプリがあれば、相談する時に役立ちます。保険がきく治療がほとんどなので、保険証も忘れないようにしましょう。

毎日の生活習慣やダイエットも生理に影響

生理の不調は、毎日の生活習慣も大きくかかわっています。バランスの取れた食事や適度な運動、睡眠など、規則正しい生活を心がけてください。冷たいものを控えるなど、体を冷やさないことも大切です。

また、無理なダイエットは生理不順をはじめ、不妊症、骨粗しょう症など、将来の健康にも影響します。適正体重(BMI)を参考に、長いライフステージを見据えた健やかな体を目指し、いまから自分の生理をととのえておきましょう。

生理不順

正常な生理は、生理周期が25〜38日、生理期間が3〜7日とされています。生理周期が前後6日以内のズレであれば心配ありませんが、これを超えると生理不順とよばれます。多くは女性ホルモンのバランスの乱れが原因で起こります。

病気の可能性や将来のリスクは?

甲状腺機能や母乳をつくるホルモン(プロラクチン)の異常が隠れていることも。また、卵巣が腫れて排卵が起こりにくくなっている場合は、放置すると不妊症になる可能性もあります。

クリニック受診の目安は?

生理が90日以上こない場合は治療が必要です。受診しましょう。

どんな検査・治療をするの?

問診、血液検査、超音波検査があります。多くはホルモン剤や漢方、ピルなどで治療します。甲状腺機能やプロラクチンの異常がある場合は専門治療が必要。卵巣に腫れがある場合は、大きさによっては手術が必要となることがあります。

生理痛

腹痛、頭痛、吐き気、体がだるいなどの個人差があり、もっとも多いのは下腹部痛です。子宮が収縮し出血する時に分泌される「プロスタグランジン」が痛みの原因とされています。

病気の可能性や将来のリスクは?

日常生活がつらくなるほどの重い痛みの場合は「子宮内膜症」の可能性も。放置すると不妊症の原因になる卵巣チョコレート囊胞や卵巣がんのリスクもあります。

クリニック受診の目安は?

市販の鎮痛剤が効きにくい時は相談してください。

どんな検査・治療をするの?

問診、血液検査、超音波検査があります。まずはプロスタグランジンを抑える鎮痛剤を服用。痛みの前兆を感じたら、すぐに飲むのがポイントです。効果がない時は、子宮の収縮を抑えるお薬や漢方薬などを併用します。初期の子宮内膜症にはピルも有効。どの症状も相談のうえ薬を決定します。