生理前にイライラしたり、肌荒れや腰痛に悩まされたりすることはありませんか? 症状がひどく、日常生活に支障が出ているなら、生理前の疾患「PMS(月経前症候群)」かもしれません。

私だけかも?と一人で悩まず、PMSのことをよく知って、上手につきあっていきましょう。

ポートサイド女性総合クリニックビバリータ 清水 なほみ 先生 2001年、広島大学医学部卒業。広島大学附属病院産婦人科、ウィメンズウェルネス銀座クリニックなどを経て、2010 年、横浜にポートサイド女性総合クリニック ビバリータを開業。コーチング医。日本産科婦人科学会専門医、日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。

生理前の不快な症状はさまざま。PMS診断の目安は?

生理前にあらわれる症状や重症度には個人差がありますが、生理が周期的にある女性のほとんどが生理前に何らかの不快症状を感じるといわれています。

「PMS(月経前症候群)」は、排卵後から生理直前までの時期にかけ、さまざまな体調不良や精神的な症状が出て、生理がきたとたんにそれらの症状がすっかり消えてしまう病気のことをいいます。排卵後から2週間近く具合が悪い人もいれば、生理直前の1日だけ寝込んでしまうという人もいます。

そして、PMSのなかでも特に心の不調が著しく、日常生活や社会生活に支障をきたすような状態を「PMDD(月経前不快気分障害)」といいます。

心や体の不調は女性ホルモンの波のせい?

PMS、PMDDが起こるはっきりとした原因は解明されていませんが、排卵後にたくさん分泌される黄体ホルモン「プロゲステロン」の影響ではないかと考えられています。黄体ホルモンが急激に増えることでホルモンバランスが一時的に不安定になり、それによって起こる感情の「波」に振り回されてしまうのです。

PMS、PMDDは20〜30代の女性に多く見られ、生理は順調、卵巣機能も正常な人に起こります。現代女性は妊娠、出産回数が少ないので生理の回数が多くなり、そのうえ、ハードワークなどさまざまなストレスもあるためPMS、PMDDになりやすいと考えられています。

受診をためらわず、早めに婦人科へ!

「こんなことで病院に行くなんて」「我慢が足りないだけなのかも」と受診をためらってしまう方も多いようですが、少なくとも自分でつらいと感じたり、日常生活に支障が出ているなら、早めに婦人科に相談を。漢方やピルでかなりの改善が期待できます。

特に精神的な症状が主な場合は、カウンセラーがいるクリニックを選んだり、心療内科を受診するのもいいでしょう。改善までには時間がかかることもありますが、自分に合った治療法が見つかれば、生理前の憂鬱も解消されますよ。

PMS

★以下はほんの一部。200 種類以上の症状があるといわれています!

●イライラしやすくなる

●集中力や判断力が低下する

●体がむくむ

●乳房に張りや痛みが出る

●体が冷える

●肌荒れ

●腰痛、頭痛

●甘いものが食べたくなる

PMDD

●うつ気分や落ち込みが強い

●突然悲しくなる、涙もろくなる

●過度な緊張や不安感によるパニック発作

●攻撃的、暴力的な振る舞いをしてしまう

どんな治療があるの?

低用量・超低用量ピルで排卵を抑えると、ホルモンの波が一定になるため症状が治まりやすいです。ほかにも、むくみやめまいを改善するために漢方を併用したりします。精神症状が強い場合は心療内科や精神科での治療が有効な場合も多く、定期的なカウンセリングを受けたり、軽い精神安定剤などを併用したりして治療します。

セルフケアで出来ることは?

ストレスや栄養の偏りはPMSを悪化させます。ハーブティーやアロマなど、自分なりのリラックスアイテムを上手に取り入れて気分転換を。深い呼吸にはストレスを和らげる効果があるのでヨガも有効です。食生活では、特に大豆や豚肉、玄米などビタミンBを多く含む食品がPMSの緩和に良いとされています。鉄や亜鉛も大事なので、肉や魚も積極的に食べましょう。