生理の前になると異常に食欲がわいてきて、食べても食べてもお腹が空いてしまう…そう感じたことはありませんか?
生理と食欲って何か関係があるの?止まらない食欲をどうコントロールしたらいい?庄司産婦人科の谷内麻子先生に聞いてみました。
生理前に食欲が止まらないのはなぜ?
排卵後から次の生理まで約2週間の高温期は、「プロゲステロン」という黄体ホルモンの分泌が多くなる時期です。この黄体ホルモンが食欲を増進させる作用をもっています。なぜなら、この時期は体が妊娠に備え、胎児のために栄養を蓄えようとするから。食欲が増すのは月経周期に伴う正常な変化なので、決して異常ではありません。ただし、うまくコントロールしないと肥満につながるので注意が必要です。
生理前後の自分の変化を把握しておこう
生理周期や生理前の症状は一人ひとり異なるので、食欲のコントロール法もそれぞれ。まずは、自分の体重や体脂肪率が生理前後でどう変化するのかを把握しておきましょう。たくさん食べても生理がくると元に戻るという人はいいですが、体重がどんどん増えていく人は要注意。つい食べ物に手が伸びてしまうのは、空腹ではなく「脳の習慣」になっている場合も多いので、食べたくなったらストレッチや散歩、読書など何か別のことをやってみてください。意外とそれで気が紛れたりするものです。また、ピルもある程度の症状緩和に有効です。ピルはPMS以外にも、生理前・生理中の不快な症状や、生理痛なども同時に抑えるので、月経周期を楽に乗り越えられるようになりますよ。
生理前&生理中の食事のポイント
同じ夕食でも、食べる時間が午後6時と午後8時では体重の増え方も違います。夜はどうしても太りやすいので、早めを心がけて。間食は午前中か、遅くとも午後3 時までが理想。また朝食を抜いて2食にするより、きちんと3食、またはもっと小分けにして4食などで摂るほうが太りにくいです。甘いものが欲しい時は、低糖質スイーツや果物を。夏場はアイスの代わりに冷凍プチトマトもおすすめ。凍らせたものを水にくぐらせると、皮だけつるんと剥けてとってもおいしいですよ。
また生理前は黄体ホルモンの働きで便秘になりやすいので、食物繊維を多めに。逆に生理中は腸を活発にするホルモンの作用でお腹がゆるくなりやすいので、オリゴ糖入りの食品や飲料を積極的に摂るといいですよ。
おすすめ食材
デーツやナッツ類
少量で満足できる甘み。鉄分、カルシウム、カリウムなど栄養満点で食物繊維もたっぷり! ただし食べすぎには注意。
低糖質スイーツ
コンビニ等でもよく見かける「低糖質」のスイーツ。プリンやケーキなど糖質を抑えながら欲求を満たしてくれる。
果物やフルーツトマト
お菓子より果物まるごとがオススメ。食物繊維が豊富だから血糖値の上がり方も緩やか。甘みの高いトマトも◎。
GI 値(※)の低い炭水化物
GI 値が低いほど血糖値の上がり方が緩やかで太りにくい食品。全粒粉パン、玄米、オートミール、春雨、蕎麦など。
きのこや海藻類
生理前の便秘対策に。生野菜に含まれる不溶性のものだけでなく、海藻類などに含まれる水溶性の食物繊維も積極的に摂りましょう。両方の食物繊維が豊富なきのこもおすすめ。
鉄分
日本女性は鉄分不足で隠れ貧血の人が多い。ダイエット中の人は特に注意。サプリメントで日常的に補って。
避けたほうがいいもの
甘い飲み物
特に果糖ブドウ糖液糖入りの飲み物は急激に血糖値を上げるので避けましょう。また冷たいドリンクよりも、お茶や白湯など体を温めるものがおすすめ。
コーヒー
カフェインは体を冷やす作用があるので、飲みたい時はカフェインレスのものを。
人工甘味料の入ったスイーツや飲料
人工甘味料はカロリーを抑えながら甘さが得られるので便利ですが、体への悪影響も心配されているので摂りすぎは控えましょう。
食生活を整えると排卵周期も整う
若い人のなかには、適正体重の範囲内なのにやせたい願望が強すぎて、栄養不足になり生理が止まってしまう人もいます。やせたいなら、食べないことにこだわるのでなく、必要な栄養素を摂りながら、運動をして健康的に体を引き締めてほしいと思います。特に10 代の方は骨密度をしっかり上げる時期なので過度のダイエットは禁物。不規則な食生活は体内時計を乱し、逆に肥満の原因になることも。生活リズムを整えて食生活を見直すことで、排卵周期も整いやすくなり、体だけでなく心の健康にもつながりますよ。