ピル以外で 生理の悩みを改善

生理痛や、PMSにPMDDと、生理にまつわる悩みはさまざま。改善にはピルが有効ですが、体質などの
理由で飲めない人や、飲んでいたけれどやめてしまったという人も。ここではピル以外で生理の悩みを改善
できる方法を、恵比寿みかレディースクリニックの田中美香先生に教えてもらいました!

恵比寿みかレディースクリニック 田中 美香 先生 順天堂大学医学部卒業。順天堂大学産婦人科、公立昭和病院、東京都保健医療公社 東部地域病院勤務を経て2018年、恵比寿みかレディースクリニックを開院。女性の10代からのライフステージにおけるさまざまな症状に対しての健康相談や治療を行っている。

ピルを処方できる人とできない人がいます

生理痛やPMS、PMDDの改善にはピルが有効ですが、誰でも飲める薬ではありません。ピルを処方できない若い女性の主な疾患は、〝前兆を伴う〞片頭痛。一般的な頭痛であれば、医師の管理のもとピルを使用できますが、視野がピカピカと眩しくなるなどの〝前兆〞が出てから起こる片頭痛は脳卒中のリスクを高めます。また、血栓症という、血管内に血のかたまりができて詰まってしまう病気のリスクがある人にも処方できません。これらはクリニックでピルを処方する際、医師が確認します。

そのほかでピルを避けたほうがいのは喫煙する人。35歳以上で1日15本以上喫煙する人には処方できないと決められています。34歳以下なら処方はできますが、生理以外の健康にも影響があるので、処方と同時に禁煙をおすすめしています。

我慢は禁物! 受診してベストな方法を選ぼう

生理痛やPMS、PMDDには個人差があり、日常生活を送るのが困難な人もいれば、まったく症状のない人もいます。「生理痛は我慢するべき」と思っている人もいますが、痛みの原因として病気が隠れていることもあります。子宮内膜症や子宮筋腫、それ以外にもさまざまな疾患がある可能性があります。

いずれにしても、当事者にとって生理前・生理中の期間は本当に大変。でも、ピルが飲めない人や、さまざまなデメリットから飲むのを諦めてしまった人でも、漢方や黄体ホルモン製剤など、ほかの選択肢があります。将来、妊活をしたい時にベストな状態でいられるよう、気軽に婦人科を受診して自分の目的や体質に合った方法を選びましょう。

ピル以外のいろいろな治療法

生理に関連した痛みやイライラ、気持ちの落ち込みなどを改善する方法はいろいろあるけれど、何が合うかは人それぞれ。ピル以外の選択肢のなかから自分に合うものを見つけよう!

◎漢方

PMS PMDD

生理前のイライラや気分の落ち込みを改善する「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」や、生理前のむくみを取る「五苓散(ごれいさん)」などが、生理に関連した症状に対して処方される主な漢方。排卵前後から生理開始まで1日3回、空腹時に飲むのが基本。もしくは生理前の不調時に飲むだけでもOK。

費用の目安/3000円前後(28日分)

◎ミレーナ®

月経困難症 過多月経

黄体ホルモンの成分を含んだ器具を子宮内へ挿入。月経量の減少と痛みを改善する効果がある。出産経験がなくても使うことができ、装着から5年間効果が持続。飲み薬を毎日飲むのが苦手な人にも使いやすい一方、子宮内に異物を入れることによる腹膜炎誘発などのリスクもある。また、ミレーナ挿入前にはクラミジアなどの性感染症の検査も必要。

費用の目安/最長5年継続使用で2万7000円(保険適用の場合)

◎黄体ホルモン製剤(ディナゲスト®)

月経困難症 過多月経 PMS PMDD

血栓症リスクのある人でも服用できる黄体ホルモン製剤。排卵抑制によって生理に関するあらゆるトラブルの改善が期待できるが、人によっては不正出血が長期にわたって続くことも。男性ホルモン量を下げる作用もあり、メンタルや活力の低下が起こることもある。

費用の目安/3700円(30日分)

意識して深呼吸をしてみましょう!

痛みを緩和したい時は市販薬を使ってもOK。薬が効かない時は婦人科を受診しましょう。

自律神経が乱れる生理前や生理中にめまいなどの症状が出る人は、血流を良くするためのストレッチや散歩など、適度な運動も心がけましょう。1日数回、意識して深呼吸をするだけでも違いますよ!