「パートナーと仲良くしたいけれど避妊はどうしたらいい?」
「もしかして妊娠したかも…」
そんな不安を抱えて日々を送るのはつらいこと。意図しない妊娠を避け、自分の体を守るためには、避妊について正しい知識をもっておくことが大切です。寺師恵子先生にいろいろな避妊法について伺いました。
女性が主体的に避妊でき、効果も高いのがピル
勉強やスポーツだけでなく、パートナーとの時間を過ごすのも学生生活の楽しみの一つ。でも、いつも避妊のことを気にしないといけなかったり、「妊娠したかも」と不安になったりすることが多いと、充実した日々は送れません。
性交渉をもつようになると、性感染症のリスクも発生します。性感染症は、将来、不妊の原因になることもあります。自分で自分の体を守るためにはきちんと知識を得て、性交渉の時は正しい避妊をすることが大切です。
現在はいろいろな避妊法がありますが、10〜20代の学生にもっともおすすめなのはOC(低用量経口避妊薬)、つまりピルです。女性が自分の意志で避妊できて、失敗率は0・3%程度と効果も高いからです。現在使われているピルは超低用量で、副作用の心配もほとんどありません。
また、ピルは生理痛の軽減や子宮内膜症の治療にも使われています。生理の悩みから解放され、なおかつ避妊もできるというお薬なので、いろいろな意味で女性が自分の体を守ることにつながります。
ただし、ピルは性感染症の予防はできないので、不特定多数の人と性交渉があるという人は必ずコンドームも併用しましょう。
何でも気軽に相談できる婦人科の主治医をもとう!
ピルはインターネット通販で海外のお薬を購入することもできますが、副作用が起こりやすい体質の人でも買えてしまう、誤った使い方で妊娠してしまうなど、さまざまなリスクがあります。正しい避妊のためには、やはり医療機関で処方してもらうことが重要。高校生以上になったら、避妊だけではなく、生理の悩みや婦人科系疾患、性感染症など、不安があった時に気軽に相談できる婦人科の主治医をもっているといいですね。
女性は生理が始まった時から一生、ホルモンに体調を左右されますが、上手にお薬を使っていけばつらい症状や不安を解消し、より生活の質を上げることができます。今のうちに自分に合った信頼できる先生や医療機関をリサーチしておきましょう。
いろいろな避妊法
自分で選んで準備しておけば、パートナーとのセックスも安心!
コンドーム
男性の性器に装着することで、精液が子宮に入るのを防ぐ。
◉費用/700~2000円程度。薬局のほか、インターネット通販でも購入可能。
◉メリット/手軽なうえ、正しく使えば感染症予防もできる。
◉デメリット/正しく装着しないと避妊効果が下がる。男性の協力が必要。
◉失敗率/2%程度
OC(低用量ピル)
女性ホルモンの入った錠剤を飲むことにより、主に排卵を抑える。
◉費用/避妊目的の場合、1カ月分で1500~3000円程度(医師による処方)。
◉メリット/高い避妊効果があるほか、生理痛の軽減や子宮内膜症の予防、予定に
合わせて生理日の調節もできる。
◉デメリット/40歳以上の人、35歳以上の喫煙者、偏頭痛、過体重の人などには処方
できないことも。
◉失敗率/0.3%程度
黄体ホルモン放出IUS(ミレーナ®)
子宮内に黄体ホルモンを放出する器具を挿入。持続的に黄体ホルモンを放出することにより避妊効果を発揮。
◉費用/5年間継続使用で8万円程度(避妊目的の場合。施設や使用目的によって
金額は異なる)。
◉メリット/避妊成功率が高く、過多月経の治療としても効果がある。
◉デメリット/初期費用が高額。器具の挿入時や挿入後に痛みを感じる人もいる。 経産婦以外は不向きとされているが、人により使用できることもあるので、関心のある人は相談を。
◉失敗率/0.2%
基礎体温法
毎日体温を測り、妊娠しにくい時期を予測。ただし成功率は低い。
◉費用/婦人体温計の購入程度で、かかるコストはなし。
◉メリット/基礎体温をつけることで自分の排卵のリズムなどを知ることができる。
◉デメリット/排卵日の予測は実際には難しいため、避妊法としては不向き。
避妊ができなかった!緊急避妊薬について教えてください。
72時間以内に婦人科へ行きましょう。
妊娠の心配があったら、性行為後72時間(3日)以内のできるだけ早いうちに緊急避妊薬を服用しましょう。効果は100%ではありませんが、8割は妊娠を防ぐことができます。購入にあたっては、不安を感じたらすぐに産婦人科を訪れて相談しましょう。どのような経緯の性交渉であったとしても処方してもらえます。料金は当院の場合、2週間分の通常のピルも一緒に処方して1万円程度。気持ち悪くなるなど副反応を起こす人もいますが、一時使用なら体への影響はほとんどありません。
いつも腟外射精だけど大丈夫ですか?
腟外射精は避妊にはなりません!
精液は射精する前にも少しずつ体外に出ている可能性があります。体に付着したものが子宮内に入って妊娠してしまうこともゼロではありません。ですから腟外射精というのは論外。「精液に触れたら妊娠する」くらいに思っていてください。感染症予防の点でも問題があります。