ピルは飲み忘れても問題なし?ピルの正しい知識を持とう

ピル服用に関して、間違った認識を持つ人も多いようです。ここではピルの正しい知識を持っていただくため、ピルに詳しいケイ・レディースクリニック新宿の川越信隆先生にお話を伺いました。

低用量ピルは、避妊はもちろん、体のバランスを整えてくれる!

そもそもピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの働きを利用した女性ホルモンの薬です。経口避妊薬とも言われ、毎日一回服用することで排卵を抑制し、妊娠を防止します。

 かつては高用量ピルが主流でしたが、ホルモン量が多すぎたこともあり、むくみなどの副作用とともに、がんや血栓症になるリスクが高くありました。そのため、ピルに対してネガティブなイメージを持つ方がまだ多いように思います。

しかし、試行錯誤の末に誕生した現在の低用量ピルは、ちょうど良いホルモン量で構成されています。体のバランスを整え、逆にがんなどにならない体に整えてくれる効果もあると言われています。

低用量ピルの正しい常識Q&A

Q.避妊の成功率は?
A.正しく服用すれば、確実に避妊できます
コンドームの場合、次の月経が来るまで、避妊に成功したかどうかはわかりません。しかし、低用量ピルはセックスの前に避妊が完了していることになります。

勘違いしている方が非常に多いのが、「コンドームを使えば大丈夫」という神話。実はコンドームによる避妊成功率はそれほど高くないのです。1年あたり20人に1人の女性が妊娠します。

一方ピルの場合、正しい知識を持つ医師の指導のもと服用すれば、服用開始後8日目以降の避妊成功率は100%といっても過言ではありません。

 Q.低用量ピルは同じ時間に飲まないと効果はないですか?
A.そんなことはありません。1日飲み忘れても翌日飲めば大丈夫です。低用量ピルにはいくつかのメーカー、ブランドがあります。トリキュラー、マーベロンなど当院で扱っているものに関しては、1日飲み忘れても翌日飲めば問題ありません。ただし、同じ時間に飲まないと効果のない低用量ピルもあるのも事実です。

Q.低用量ピルは2日以上飲み忘れたらやり直しが必要ですか?
A.飲み忘れたら本来の日付に追いつくまで1日2錠服用します。
飲み忘れたからといって、服用を中断するのは間違い。本来の日付に追いつくまで1日2錠服用し、追いついたら1日1回1錠に戻します。

 Q低用量ピルの服用が不妊症の原因になりますか?
A.ありえません。服用を中断すれば、すぐに妊娠可能です。ピルの服用を中断すれば、すぐに妊娠できます。3カ月以内に排卵するケースがほとんどです。もちろん、胎児に悪影響もありません。

Q副作用はありませんか?
A.ありません。体が慣れるまでだるさや頭痛を感じる場合はありますが、一時的なもの。慣れてくれば不快な症状は消えます。少なくとも正しい知識と認識のある医師が処方する低用量ピルであれば、副作用の心配をする必要はありません。

繰り返しになりますが、ピルは体を妊娠状態にするものです。ピルの副作用を心配するのは、子作りする前に妊娠の副作用を心配するようなものです。

川越先生より まとめ

先進国では、生理が始まった小学生から低用量ピルを服用するのが常識。ただ、日本では低用量ピルの認可が下りたのが遅かったがために、歴史も浅く、すべての産婦人科で処方されるわけでもありません。したがって、低用量ピルを正しく理解している医師の指示に従うようにしてください。

川越 信隆先生(ケイ・レディースクリニック新宿) 東京都出身。日本医科大学卒業後、慶応義塾大学病院、医療法人財団荻窪病院、国立病院東京災害医療センター、日本医科大学病院、社会福祉法人 勝楽堂病院等で勤務。その後、東京・新宿センタービルにケイ・レディースクリニック新宿を開設。