【Q&A】生理後から続く出血~船津先生

生理後のおりものの変調は気になりますよね?

船津先生にお聞きしました

船津 雅幸 先生(船津クリニック 院長)昭和大学医学部卒業後、昭和大学病院、亀田総合病院、共立蒲原総合病院など7つの地域の中核病院と2つの医院勤務を経て平成18年12月にクリニック開業。患者さんが言いづらいこと、本当に悩んでいることを理解できる存在になるべく、患者さんとの丁寧な対話を心がけ、いい意味で『おせっかいな町医者』を目指している。
みーさん(29歳)
約1年前から生理後から排卵日である14日目付近まで、茶褐色〜黄色のおりものが出ます。
匂いとしては、近くで嗅いでみると血の匂いがします。
複数の婦人科に通ったのですが、いずれも「ホルモンバランスの崩れ」と言われました。
子宮頸がんの検査は昨年も2回行い、いずれも陰性。体癌の検査は「若いからまだしなくていい。
エコーで経過を観察していけばいい」と言われてしまい、未実施のままです。
エコーは問題なし。卵管造影検査も問題なし。唯一、子宮鏡検査ではポリープなどがありました
が、「子宮腺筋症があるが、いま治療がすぐに必要ではない状態なので、出血には関係ないと思
う」と言われました。
今後妊活をすすめる際、毎回茶色のおりものがまだ出ているなか、タイミングを取っていいのか不
安があります。
また、個人的にこの出血が不正出血なのか、生理が長引いているのか気になっています。
原因を突き止める検査でどのようなものをおこなってもらうべきでしょうか?

通常の月経パターン(「月経」と思われるタイミングの出血で、数日以内に止血する)と異なる出血は「不正出血」と考えます。つまり前回の月経初日から3週間以内の出血、10日以上月経の出血が続く時などです。

不正出血があった場合に先ずは悪性疾患を否定します。がん検診を行うという意味ですが、子宮の癌には頸部と体部と2箇所できる場所がありますが、体がんは更年期以降に多いがんですので、若い年齢層では検査を行わないかも知れません。(超音波検査で「子宮内膜の肥厚」所見も参考になります。)

ご本人の不安が強い(がんが心配)ようでしたら子宮内膜細胞診を行っても間違いではありません。悪性疾患が否定できたなら、不正出血をきたすような他の器質的疾患(子宮筋腫やポリープなど)を検索し、もし見つかったならそれぞれの評価・対応を考えます。以上問題点が見つからなければ一過性ホルモン異常による「機能性子宮出血」と考え、基本止血すれば問題ありません。毎回排卵期にある出血も大丈夫です。

不正出血を頻回にきたすようならピル製剤の使用も考えます。また重要なポイントは貧血があるかないかで、血色素量(ヘモグロビン/Hb)の数値だけでなくフェリチン値にも注目すべきです。血色素量が正常範囲内であっても、フェリチン値が低ければ「隠れ貧血」や「鉄欠乏症」状態ですので治療を検討した方が良いでしょう。(日本は「隠れ貧血大国」と言われ、フェリチン値にあまり重要視していない医師が沢山いることも事実です。)

早めの挙児希望があるよでしたら、不妊治療の主治医に相談してみてください。