生理前に食欲旺盛?生理前後の過食の原因と改善法

日常生活で感じるちょっとした症状から、婦人科系の病気の可能性を探る<これって婦人病のサイン!?のコーナー。生理前になるとついつい食欲が増し、食べ過ぎてしまうのはなぜでしょうか?

生理前に食欲旺盛になるのは女性ホルモンのしわざ

女性の月経サイクルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンによってコントロールされています。

エストロゲンが分泌されている間は新陳代謝が亢進しているので、からだの調子もよく、軽々とした感じの状態です。

しかし、排卵期以降、プロゲステロンが分泌されると、からだは妊娠を想定して栄養をため込もうとします。代謝も低下するので、水分も貯まり肥満傾向に陥りやすくなるというわけです。 
<生理から排卵日まではエストロゲン分泌>
→糖や脂質を代謝し、からだが痩せやすくなる。

<排卵から生理になるまではプロゲステロン分泌>
→体内に水分が貯まりやすく、食欲も増進する。心身が不安定になりがちでストレスもたまり、より過食に走る傾向が強くなる。

生理前後の食欲と正しくつきあう方法

1.毎日でも週1回でもいいので体重をはかり、生理前後でどれくらい差が出るかを客観的に把握しておきます。増減の振り幅が大きければ、食事栄養やバランスや量を調整するようにしましょう
2.食欲中枢を満たすためにはご飯やパンなどより肉類を多く摂取してください

3.普段からいかに自身の精神を安定させるかも大切。読書、美容、買い物などなんでも良いので、日常的に自身が満足度の高められるようなことを積極的に実践してください
4.ウォーキング、ランニング、ヨガ、ストレッチ、ボクササイズなど自分に合った運動を心がけましょう。負担に感じないような運動をすることがポイントです

治療には漢方薬や食欲中枢抑制剤を使います

過食を阻止するための治療には、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)という漢方薬を使ったり、排卵日から生理前の期間だけサノレックスという食欲中枢抑制剤を処方したりしています。代謝を上げるリポアランという点滴を行うこともあります。

サプリではプラセンタがおすすめです。

患者さんにはとにかく代謝が停滞する時期は、たくさんの水を飲み、たくさんトイレに行くようにしてくださいと言っています。水分をとることで代謝はかなり改善されます。また、飲みっぱなしでトイレにいかないのはむくみのもとにもなりますので気をつけてください。

ダイエットをするなら生理が終わった直後からスタートを

ダイエットをするなら、生理が始まったころ、もしくは終わった直後くらいから開始すると良いでしょう。新陳代謝が良いときなので、体重の減少ぶりを目でしっかり把握でき、達成度も高まります。達成度が高まることで、黄体ホルモン期の過食も予防できます。
反対に、生理二週間前はどんなにダイエットしても代謝が悪くなっているため、あまり落ちないのでやる気も失せてしまいます。

千代倉先生より まとめ

生理前の過食の原因はプロゲステロンという女性ホルモン。食欲を抑えるためには、「食べること」以外に自分の心を満たしてくれるものを見つけておくことも大切です。

 

千代倉由子先生(池ノ上産婦人科)東邦大学医学部大学院卒業。東邦医大医学部産婦人科勤務、東邦医大周産期センター研修、青梅市立病院産婦人科勤務、日赤医療センター麻酔科研修を経て、現在は池ノ上産婦人科で診療中。話しづらい不妊、避妊、性病、緊急避妊、子宮がん、乳がん、妊娠人工中絶についても気兼ねなく相談できる。最近ではファッション雑誌やマタニティ雑誌などで専門医師として紹介されている。