女性ホルモンの減少とともに訪れる更年期障害。けい子レディースクリニックの寺師恵子院長に更年期を健康に美しく過ごすコツを運動面や精神面などからお聞きしました。
筋肉や骨に刺激を与える運動を
更年期障害とは?女性ホルモンとの関係や症状【更年期〜女性ホルモンに影響される女性の健康】でもお話した通り、更年期はエストロゲンが減少することで、骨密度が減少し骨質が劣化する「骨粗しょう症」になりやすくなるため、骨や筋肉を刺激できるような運動をおすすめします。
はじめやすいところでウォーキングをする体幹トレーニングでインナーマッスルを鍛えるなどを普段の生活のなかに取りいれてみてください。突然テニスなどのハードなトレーニングは体に負担をかけるので、無理のないところから始めましょう。当院では個人の体調にあわせてトレーニングができる「パワープレート」という機械を導入し、更年期の女性の体力維持に活用しています。
パワープレートとは、ストレッチ、トレーニング、リラクゼーションを一台で行える加速度トレーニングマシンです。3次元高速振動のプレートの上でさまざまなポーズをとるだけで筋肉に効果的な負荷をかけたりストレッチさせたりできます。
食べ物は「茶色いもの」を意識して
女性に「冷え」はつきもの。更年期の女性もホルモン、自律神経の乱れから「冷え」を感じる人が多くいます。誘惑の多い甘いもの、また生野菜は冷えの原因になりやすいのでほどほどに。私は患者さんによく「茶色いものを意識して食べてみて」と言っています。たとえば、パンなら胚芽入り、全粒粉入りのもの、お米なら玄米、または五分づき米でも良いでしょう。このような食品を摂りいれることで腸内の善玉菌は活発になり、毒素を出してくれるので、結果体温が上がり、体の不調が解決されることもあります。
気分転換できること、頭を使うことを
更年期の女性は、人生のうえでも転換期と重なることが多いです。たとえば、ご両親の介護、お子さんが巣立って家にいなくなる、ご主人が退職されて一緒に過ごすことが多くなった……など身体の症状以外でも、このようなことが原因で鬱状態に陥る人も実は多いのです。
鬱状態を改善するには「楽しめることを持つ」ことだと私自身も経験上思っています。実際私は40歳になった時にゴルフを始め、今でも週1回のレッスンを続けていますが、それが気分転換につながっています。
また「頭を使うこと」もリフレッシュして更年期の症状を和らげると思います。これも自身のことになりますが、40歳を過ぎてチェロを習い始めました。これも、いつもとは違った神経を使うことで気分が変わるので、頭を刺激できる何かを始めてみることもおすすめです。
寺師 恵子先生(けい子レディースクリニック表参道 院長)東海大学医学部医学科卒業 医師国家試験合格後東京、新宿、国立病院医療センター(現、独立行政法人国立国際医療研究センター)産婦人科入局。研修医、レジデントを経て、医員として産婦人科全般を診療。その後日野市加来産婦人科医院副院長。休日は愛犬ななちゃん、茶々とのお散歩を2時間ほど楽しんでいる。