若い女性に増えている子宮頸がん
子宮頸(けい)がんは、子宮の入口にあたる子宮頸部にできるがんのことです。赤ちゃんが育つ子宮腔にできるがんを子宮体(たい)がんといい、この2つをあわせて「子宮がん」と呼ばれています。
近年、子宮頸がんにかかる20~30代の若い女性が20年前に比べて急激に増えています(➡表1)。性交開始の若年化や、ピルの普及によってコンドームで避妊しなくなったことが考えられます。ピルの服用ではウイルスの感染を予防できないのです。
【表1】 参考データ:国立がん研究センター
検査は痛くないですか?受けるタイミングは?
検診が初めての人や痛い思いをした人、セックスの経験がない人は「小さい器械にして欲しい」と、医師にはっきり伝えるとよいでしょう。
検査を受ける時は、月経血が多い時は避けましょう。月経血が多いと細胞を取りにくくなるため、正確な判定ができない場合があります。月経中も検査可能かを、検査を受けるクリニックに事前に確認されるとよいでしょう。
検査結果の後はどうなるの?
検査で取った細胞は顕微鏡で調べます。結果は「異常がない・再検査が必要・精密検査が必要」の3パターンです。異常がなければ少なくとも2年後にまた受けましょう。再検査の場合は早めに検査をしてください。
そして精密検査になった場合ですが、がんを疑う部分を、コルポスコピーという拡大鏡で観察し、その部分を小さく切り取る「狙い組織診」をして、異形成や上皮内がんがないかを診断します。
異形成は「軽度、中等度、高度」の3段階に分けられ、軽度か中等度であれば自然に治ることがあるので、治療しないで3ヵ月ごとに経過観察します。
ある自治体では、精密検査をした人の約1割に異形成や上皮内がんがわかり、早期の治療へとつながりました。しかし一方で、「精密検査が必要です」との通知を受け取っても無視する人たちもいました。こうした傾向は20代に多くて、とても残念なことです。
子宮頸がんは怖い病気ではありません。早期に発見し、適切な治療を行えば再発することもなく、子宮も命も守ることができます。ごく早期のがんは症状がほとんど出ないため、検診を受けることが何よりも大切です。参考データ:国立がん研究センター
子宮頸がんの進行は0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の5段階に分けられ、さらに各期のなかで細かく分けられる。異形成は0期前の状態。
石川先生よりまとめ
HPVの感染からがんになるタイミングは誰にもわからないので、検査を定期的に受けることが重要です。多くの自治体では、無料か少額の自己負担金で子宮がん検診を受けられます。 また、セックス時に出血したり、月経以外で出血が続いた場合には、躊躇せずにクリニックを受診しましょう。健康保険適応で検査を受けられます。