他人事とは思わないで!知っておきたい子宮頸がんのこと

女性特有のがんの中では乳がんに続いて多い子宮頸がん。「若いから大丈夫」「私には関係ない」と思っていませんか?
実は若いうちからかかってしまうこともあるのです。
子宮頸がんの予防法について、かもい女性総合クリニックの田中純也先生にお話を伺いました。 女性特有のがんの中では乳がんに続いて多い子宮頸がん。「若いから大丈夫」「私には関係ない」と思っていませんか?

子宮頸がんの前兆は20代で始まっていることも!

子宮頸がんは、性交渉によってヒト・パピローマウィルス(HPV)というウィルスに感染することが原因で起こる病気です。子宮頸部にウィルスが入り込むと、少しずつ細胞のDNAを変えていき、正常な細胞が異形細胞へと変わっていきます。

この段階はまだがんではありませんが、がんに進行する可能性のある細胞なので、注意深い監視が必要です。この異形細胞は、性交渉が始まった20代から表れていることも多くあります。がんになる年齢としては40~50歳代が多いですが、最近では20~30歳代で発生するケースも増えてきました。

子宮頸がん検診を受ければ、ほとんどの人が予防できる

がんの前兆である異形細胞があるかどうかは、検診を受ければすぐにわかります。異形細胞があった場合、3ヶ月ごと、半年ごとなどに検査をして、細胞がさらに変化していないかを調べます。もしも進行してがんになりそうな場合は、手術で切除します。手術は日帰りか1泊の入院で、5~10分で終わる簡単なものです。

大事なのは前兆をとらえること、つまり検診を受けることです。しかし、子宮頸がん検診の受診率は、アメリカ・ヨーロッパでは90%、韓国は70%なのに比べて、日本は17%とかなり低いのが現状です。これは日本の性教育が諸外国と比べて遅れていることと、日本人特有の「自分だけはがんにならない」という思い込みからきていると考えられます。

気になるワクチン接種のこと

子宮頸がんはワクチンで予防ができる病気です。性交渉前の10代でワクチン接種するのがよいとされていますが、20代、30代の方にももちろん効果があります。ワクチン接種後の副作用が話題になったこともありましたが、因果関係は認められていません。このワクチンは世界各国で使われており、浸透していないのは日本を含めほんのわずかな国だけです。オーストラリアでは男性もワクチン接種をしています。

どうしてもワクチン接種には抵抗があるという方は、1年に1回、少なくても2年に1回は検診を受けることをお勧めします。各自治体で20歳以上の女性に対して補助金を出しているので、利用するといいでしょう。子宮頸がん検診を受けると、異形細胞のほかにも子宮頚管ポリープや子宮筋腫、子宮内膜症などの病気が見つかることもあります。ぜひ積極的に検診を受けるようにしてください。

 
田中純也先生(かもい女性総合クリニック 院長)山梨医科大学(現山梨大学)卒業。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。女性が話しやすく、安心して体のことをなんでも相談できるクリニックづくりを心がけている。