常識が変わりつつある、最近のピル事情

現代女性に増えている月経困難症

生理が毎月来ているけれど、子宮内膜症や子宮筋腫があり痛みがある、経血量の多さに苦しむなどといった、いわゆる月経困難症の方は年々増えています。

その昔、女性は初潮が来てしばらくすると妊娠と出産を繰り返し、20代のうちはあまり生理が来ないのが一般的でした。ところが、現代は初潮年齢が早まった一方で妊娠年齢が上がり、初潮から妊娠までの期間がとても長くなりました。月経回数が多いと、子宮内膜症や子宮筋腫になる人が増えてきます。

月経痛のある人は月経痛のない人の4倍、子宮内膜症になりやすいとも言われているほど。

こういった疾患を減らすために開発されたのが超低用量ピルと言われる「ルナベル」や「ヤーズ」です。

超低用量ピルの種類、飲み方は?

以前までの超低用量ピルは、例えば1日1錠ずつ21日間飲み続けて7日休む、あるいは24日間飲み続けて4日休む、など休薬期間が設けられていました。これにより月経困難症による痛みなどに救われる方がいる一方で、飲まない時よりは軽減されてはいるものの休薬期間にやはり具合が悪くなる人もいるという方もいました。

そのような状況で2017年の春から処方されるようになったのが「ヤーズフレックス」です。これは最長120日間飲み続けてもいいピルで、当院でもすでに30代を中心に飲んでいる方が多くいます。

私の所見ですが、ヤーズフレックスを飲んでいても50日前後で出血がある(体調は良い)方もいるので、そういった場合には4日ほど休薬してまた再開してもらいます。人によっては、やっぱり生理が来るほうが安心、という方もいるので、そういう場合は従来の超低用量ピルを処方しています。

最近では、その人の体質や要望によって、ピルの選択肢がとても広まってきているのです。

服用できるのは10代から40歳までがめやす

当院で過去に処方した最少年齢は12歳。昔はピルを服用すると身長が伸びなくなるという説もありましたが、今では研究によりその事実はないとされています。生理痛が極端に酷くて学校に通えないという学生さんもいるので、そういった方には処方しています。そして、40歳までを処方する最高年齢としています。

40歳以降で処方するケースはそれ以前にもピルを処方していて継続的に飲むケースで、はじめての方には処方していません。

40歳以降となると、今度は更年期症状も現れますので、そちらの治療が優先になります。ホルモン補充療法に切り替えた方がいい方もいますので、長年お付き合いのできる婦人科医を見つけてぜひ相談してみてください。

寺師 恵子先生(けい子レディースクリニック表参道 院長)東海大学医学部医学科卒業 医師国家試験合格後東京、新宿、国立病院医療センター(現、独立行政法人国立国際医療研究センター)産婦人科入局。研修医、レジデントを経て、医員として産婦人科全般を診療。その後日野市加来産婦人科医院副院長。休日は愛犬ななちゃん、茶々とのお散歩を2時間ほど楽しんでいる。