低用量ピル 役割は避妊だけじゃない! 意外と知らない低用量ピルについて

「低用量ピル」に「避妊したい人が飲む薬」という印象を持っている人も多いのでは。そこで、ピルにはどんな種類があるのか、どんな副作用があるのかなど、ピルとの上手な付き合い方について浜松町大門レディースクリニックの池田貴子先生にお話を伺いました。

低用量ピルは大きく分けると避妊用と治療用の2種類

 

今、日本で使われている低用量ピルは、大きく分けると2種類に分けることができます。

1つは多くの方が知っているとおり、避妊用として使われているものです。

ピルには排卵を抑える作用があるため、妊娠を避けることができます。日本で使える避妊法の中でも確実で安全性が高い方法の1つといわれています。

もう1つは生理にまつわるトラブルの治療用として使われるピルです。

生理の約1週間前から下腹部痛などの体の不調が起こったり、精神的なイライラに悩まされるPMS(月経前症候群)や、月経困難症(生理中にあらわれる下腹部痛や腰痛、頭痛、下痢などのつらい症状)などに悩む人に使われています。

上記の2つで異なるのが、患者さんが負担する金額です。避妊用は自費になりますが、治療用の場合は保険が適用されます。

「避妊と治療、両方の目的でピルを使いたい」という場合は、かかりつけ医に相談してみるといいでしょう。

服用することでメリットもたくさん

 

ピルを服用すると生活にどのような変化がもたらされるのでしょうか。

例えば生理痛がひどく、そのせいで仕事を休まざるをえない場合、服用することにより生理が来る回数を減らせる=生理痛が起こる回数も減るので、仕事を休む回数も減ってくるでしょう。

さらに、鎮痛剤を使う回数を減らせるという利点もあります。

また、大切な試験や重要なイベントなどと生理がバッティングしそうな時にも、ピルのメリットを活かすことができます。服用して排卵をコントロールすれば、イベント当日に体の不調やトラブルに悩むことなく、集中することができます。

このようにピルは、使い方次第で生活をより快適に、楽しくしてくれる救世主でもあるのです。

場合によっては副作用が出ることもあり。服用前の受診が基本

 

ピルもほかの薬と同じで、時には副作用が出ることがあります。

主な副作用としては、吐き気や不正出血、軽い頭痛などがあります。
また、ピルには腸の活動を少し鈍くする作用があるため、もともと便通がよくない人は、便秘がちになることも。

上記のような軽い副作用の場合には、その症状が3カ月間程度は続くことが多いですが、その期間を乗り切れば感じなくなるケースがほとんどです。

「副作用がひどくて3カ月も耐えられない」という場合は、医師に相談してください。

また、以前は「ピルを飲むと太りやすい」と言われていましたが、今はだいぶ改良され、そういった副作用は少なくなってきました。

ただし、「やっぱり太りやすくなった」「むくみが出やすくなった」という人もいるようです。
また、ごくまれですが、重篤な副作用として血栓ができたというケースも過去にありました。

血栓のような副作用は、自覚症状がほとんどないので気づきにくいのですが、ピルを服用し始めてから「ふくらはぎが痛い」などの異変が生じたら、早めの受診が必要です。

ご自身の体質や既往症によっても副作用の種類や出方は異なります。さらに、薬が合う、合わないなどがあるので、必ず服用前には診察を受けましょう。

さらに、服用中も体に異変がないかを定期的にチェックしてもらうためにも、安心してなんでも相談できるかかりつけ医をみつけておくことがポイントです。

池田先生よりまとめ

「ピルを服用し始めてから気持ちが軽くなった」「生活がグッと楽しく、快適になった」という患者さんを多く拝見しています。

一度飲み始めたら10~20年飲まなければいけないわけではなく、服用期間も自分の体と相談しながら決められます。迷っているなら、一度試してみてください。

池田貴子先生(浜松町大門レディースクリニック)東邦大学医学部卒業。東京医療センター外科系研修医を経て、東京大学医学部産婦人科入局。その後、複数の産科・婦人科クリニックにて院長として勤務。2017年6月に浜松町大門レディースクリニックを開院。患者さんの悩みを丁寧にヒアリング。それをもとに今後の治療法などをわかりやすくレクチャーしたり、日常生活についてのアドバイスを行ってくれる。