夫婦仲にも悪影響!? 妊活中のセックスの悩み解消法

セックスの義務化やセックスレスなど妊活中にありがちなセックスの悩みに、セックスセラピストでもある咲江レディスクリニックの丹羽咲江先生からアドバイスをいただきました。

 

今どきの忙しい二人には セックスをする時間がない!?

妊娠を望むあまりにセックスが義務化し、それがストレスになって回数が減ったり、夫婦仲までギクシャクしてしまう―。そんな悩みを持つカップルは昨今、とても増えています。

なかでも特に顕著なのは、忙しすぎて疲れてしまってセックスをする時間と気持ちの余裕がないという悩み。

セックス自体が子どもを作るためのものではありますが、やはりどんなカップルでもある程度の段階を経てセックスに至るのが自然の流れです。

例えば、話したり手をつないだりというコミュニケーションもとれないほど、時間的、精神的な余裕がないなかで、いきなり子どもを作るためにセックスだけするというのには無理があります。

ましてや、コンスタントにセックスの機会があれば別ですが、普段、まったくしていないのに、1カ月に1回、この日だけセックスしなくてはいけないとなれば、苦行に近いプレッシャーを感じて当然です。それを求める相手に対して良い気持ちをもてなくなるのも、あたりまえの感情ではないでしょうか。

男性側の不妊原因のひとつ 腟内射精障害も増えている

夫が腟内で射精できないという声もよく耳にします。

実際、とても疲れていたり、ストレスのある時には射精がしづらいものですが、そのうえで、射精しなければ・・・という焦りがあれば、余計に射精は困難になります。

また、もともと女性の柔らかい腟の中で射精すること自体難しい、いわゆる腟内射精障害の男性も増えているように感じます。

今は、そういった腟内射精障害や遅漏などを男性側の不妊の原因のひとつとしてとらえ、治療するという考え方も広がってきました。例えば、TENGAのメンズトレーニングカップなどは、女性の腟の柔らかさに徐々に慣れていくための男性向けケア用品。腟内への挿入はできるけれど腟内で射精できないという男性には、おすすめです。(※インターネットで購入することができます)

ただ、ご本人にやる気があっても、こういったトレーニングを推奨している施設はまだ数少ないと思います。また、忙しく働いている男性が昼間に時間を作って泌尿器科などを受診するということ自体、難しいかもしれません。

セックスしなくてもOK! 自宅でできるスポイト法(シリンジ法)

現在は、体外受精などの治療技術も進歩していて、必ずしも腟内性交をしなくても妊娠はできる時代になっています。

ですから、セックスができないとか、射精ができないなどといって、自分を責める必要はありません。

また、現在の産婦人科のガイドラインでは、38歳以上で妊娠を望む人にはすみやかに体外受精へのステップアップをすすめるという指示があります。つまり、女性が35歳以上で腟内射精や腟内性交ができないのであれば、悩んでいる時間はあまりないということです。

セックスはしたい時にするべきものです。しかし、それが難しいのであればいろいろな方法で回避できるし、それでも妊活する手段はあるのだということを知ってほしいと思います。

2人で作戦と目標を立て 無理のない妊活ライフを

妊活中のセックスで悩まないためにも、子どもを作ることに関しては、まず2人で冷静に話し合うことが大事です。

家を建てるとか貯金するなどということと同じように、妊活についての夫婦の目標を立て、どういう作戦をもつかを決めましょう。

なにがなんでも子どもがほしいのか、どれくらいまでにどういう方法で、ダメなら体外受精まで考えるのかなど、自分たちのとるべきプロセスをきちんと理解し合うことが重要です。

そうすれば、例えば今日は疲れているからできないと言われても、全人格を否定されたかのように落ち込む必要も、悩むこともなくなります。できない時はできないと言いやすくもなり、お互いの無理が解消されます。

2人の間の気持ちのギャップやすれ違いがなくなれば、自然にセックスのできる関係性も取り戻せ、妊活の結果にも繋がるのではないでしょうか。

丹羽先生より まとめ

セックスというのは、それなりにくつろいだ時間にするのが自然の流れ。子どもを作るという義務感だけでは無理が生じるのは当然です。まずは2人で妊活への目標と作戦を話し合いましょう。そして、時間的な余裕の問題や、腟内射精障害や性交痛などの悩みも、セックス以外のいろいろな方法で解消できるし、妊活できる方法があるということを知ってください。
丹羽 咲江 先生(咲江レディスクリニック 院長)名古屋市立大学医学部卒業後、国立名古屋病院(現名古屋医療センター)、名古屋市立城北病院(現名古屋市立西部医療センター)勤務を経て、2002年に開業。毎日の診療以外にも、中学校・高校・大学で性教育、その他にも一般女性を対象に「女性の健康」について講演活動を数多く行っている。