初潮を迎えて生理があれば、誰でも子どもを望むタイミングで妊娠できると思っている人は多いのではないでしょうか? 体をめぐる若い女性の意識について、白金高輪海老根ウィメンズクリニックの海老根真由美先生にお聞きしました。
多くの女性は、自分の子宮や卵巣の健康に無関心
乳がん・子宮頸がんの婦人科検診率は20~30%(※)とかなり低く、子宮や卵巣は健康か、排卵は正常か、性病に感染していないかなど、自分の生殖器に関心を持って定期的にヘルスチェックをする女性は少ないのが現状です。
※参考データ
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/data/japan/
多くの女性は親から独立したあと、叶えたいライフプラン(将来の希望、夢)を描くと思うのですが、その過程にぜひヘルスチェックをとり入れてほしいですね。
というのは、病気や不妊によって、生き方が思うようにいかなくなった時、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースが起こりうるからです。
実際、学生の頃から生理痛がひどく、治療しないまま市販薬で抑えていた女性が、仕事を休みがちになり、キャリアを形成を逃してしまったケースもあります。
また、仕事が落ち着いたのでパートナーとの子供を望んだ時、排卵障害や子宮頸がんが見つかり、残念ながら妊娠できなかったという人もいるのです。
不慮の病気や事故はコントロールできませんが、ヘルスチェックをしておくことで未然に防げることもあります。
ヘルスチェックは気持ちさえあれば簡単にできるもの。生理痛の原因になる子宮筋腫や子宮内膜症を発見したり、体に関する知識を身につけるチャンスでもあります。
メイクやファッションで外見を美しくするのと同じように、自分では見られない体内をクリニックで点検してあげてみてはどうでしょう。
忙しい日常の中だからこそ、後回しにせずに、自分の体に関心を持ってみましょう。
進学や就職を機会に、ヘルスチェックできる女性に
ではヘルスチェックのベターなタイミングはというと、まずは18歳くらいがよいと思います。
進学や就職で親元を離れて一人暮らしを始める機会に、基礎体温表(※)を持ってレディースクリニックを受診してみましょう。
※婦人体温計で朝起きた時の体温を測り、記録したもの。自分の子宮や卵巣の状態、月経や排卵が正常にあるかを知る手がかりになる。
男性医師が苦手であれば、今は女性医師のいるクリニックがたくさんあります。
自分とフィーリングが合いそうな女性医師に出会えたら、定期的に相談するのも有効です。
セックスする機会も増えるこの時期は、女性ホルモンや排卵のこと、生理や妊娠のしくみ、避妊のことなど、最低限の知識を身につける必要があります。
学校や職場で教わる機会がない現状、そうした相談にのってくれる女性医師は、ライフプランを叶えるうえで心強い味方になってくれるでしょう。
そして20歳になったら、無料で行える子宮頸がん検診をぜひ受けてみましょう。
この検診では、セックスを介して子宮の入り口にヒトパピローマウイルスが感染するため、それによって発生するがんを見つける目的があります。
かつて、あるタレントさんが36歳の時妊娠しましたが、子宮頸がんも同時に見つかりました。
あいにく進行がんだったため、胎児も子宮も諦め、子宮全摘出手術を受け、その後、代理母出産を選んだことがニュースになりました。
当時、彼女は一度も子宮頸がん検診を受けていなかったことを後に公表しています。
子宮頸がんは早期に発見すれば、ほぼ治る病気です。
セックスをする機会があれば誰でも感染するリスクがあるため、他人事にしないことが大切です。
体の疑問や不安は素人じゃなく、専門家に相談して
分の体に無関心なかたがいる一方で、「太っていると妊娠しづらい? 」「甲状腺疾患や糖尿病があると妊娠できない? 」という不安を、ネットの書き込みを使って素人に相談するかたもいらっしゃいます。
漠然とした不安をひとりで悩まず、抱え込まず、クリニックに受診して医師に直接聞きましょう。
クリニックをうまく活用してください。
ちなみに、妊娠しやすいのは、今も昔も痩せている方よりは、どちらかというと太り気味の方・・・・。
また、20~30代で甲状腺疾患や糖尿病を患っていても、それをコントロールする薬があります。
きちんと治療を行えば妊娠できます。
医療は進歩しているため、過剰に不安に思うことではありません。どうぞ安心してください。
まとめ
人はそれぞれ、体に弱い部分があり、それをすべて不自然に強化することはできません。
でも、自分の弱い部分をちゃんと把握し、医療の力を正しく活用しながら、生活習慣でコントロールしていけば、ライフプランを実現し、充実した人生を歩めます。そのためにも若いうちから、結婚予定の有無にかかわらず、女性の生涯の健康につながるレディースクリニックを上手に活用してほしいですね。