人生をデザインするために 今、本音で語る「性」の話

ジネコでは不妊に限らず、女性の健康やライフデザインをトータルでサポートしています。その一環としてプロデュースしている、学生を対象にした性教育セミナーの模様をレポートします。

 

※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。

●NPO法人ピルコンとは?

正しい性の知識と判断力を育む支援をすることで、これからの世代が自分らしく生き、豊かな人間関係を築ける社会の実現を目指す非営利団体。学生や保護者向けの講演をはじめ、性の健康啓発事業等、さまざまな活動を行っています。

身近な講師陣による リアルに実感できる性の話

 

「ホントに知りたい性のはなし」というテーマの講義が、埼玉純真短期大学一年生の女子学生を対象に、授業の一環として行われました。NPO法人ピルコンの代表、一児のママであるアスカさんをはじめ3名の講師陣は、教師や産婦人科医とは違い、学生たちと年齢の近い、身近なお姉さんという印象です。

 

講義は恋愛についての話からスタート。「デートDV」の話では、講師による恋人同士の会話劇が披露され、「あ、それって身近によくあることかも」と思わせるわかりやすさ。また10代で妊娠・出産したある女性の手記の朗読も、リアルな説得力がありました。「ハッピーな恋愛をするのに必要なことって何だろう?」、「子どもを育てていくために必要なことは何?」、というように同時進行で意見交換をし、学生自身も主体的に一緒に考えていくことができる内容です。

 

性の正しい知識として、男女の体や月経・妊娠のしくみ、中絶や避妊の知識、近年増加する性感染症や、不妊・低体重児などの問題も、スライドやデータを駆使して、とてもわかりやすく説明されていきます。望まない妊娠・中絶、避妊をしてくれないパートナー、などのネガティブな話も、講師たちの実体験に基づいたエピソードとともに語られ、学生たちはその正直な告白に驚きつつも、より身近な現実として、真剣に聴き入っていました。

 

学生を3〜4名ずつに分けた参加型のグループワークも実施。まずは講義の復習を兼ねた◯×式のクイズが行われ、「月経中や安全日の性交なら妊娠しない」(×)など、間違った認識が正しい知識へと変わりました。また性感染症に関する理解を深める実験として、それぞれのコップに入った水を、隣の人と混ぜていくことを繰り返して、性感染症の広がりを疑似体験。反応薬を入れると水の色が変わり、元は一つのコップだった感染源が、数回の交換で半数以上に広がり、学生たちはみな驚きを隠せない様子でした。

 

ほぼ全学生が講演を聴けて 「とてもよかった」と実感

 

衝撃的だったコップの実験の後、コンドームなどによる性感染症の予防の大切さや、感染してしまった後のケアなどについての講義がありました。デートDV、望まない妊娠、中絶、性感染症などについても、相談窓口や検査機関が身近にあることも紹介され、学生たちは講義全体を通して、「性」の正しい理解とともに、自身で判断し行動する大切さを学んでいました。

 

アンケートの結果では、ほぼ全員が、「講演を聴けてとてもよかった」と回答しています。この春短大生になり、まさにこのような恋愛体験の渦中にある年頃の女子学生たちに、今一番必要でリアルな内容だったことが伺えます。コメントの中に「ハッピーな恋愛のために、お互い思いやりをもちつつ、嫌なことは言葉で伝える勇気が必要だと思った」、「妊娠しやすい年齢と子育てしやすい年齢を鑑みた人生プランが大切だ」といった高い意識がみられ、学生たちにとって、正しい「性」の理解が、幸せな恋愛や人生に繋がることを学んだ、とても有意義なセミナーだったようです。

 

自分のコップの水をほかの人の水と混ぜていく実験。数回の交換で一つの感染源が瞬く間にクラス中に拡散し、性感染症の怖さを実感しました。