第3回 思春期はホルモン分泌が不安定

思春期と初経年齢

思春期は、卵巣から女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が始まり、女児が女性らしい体つきに変化する時期です。

この時期に初経を迎えますが、初経年齢には個人差があります。平均して10歳から14歳、学齢でいうと小学校の高学年から中学生の頃です。

15歳になっても初経をみない場合には、婦人科へ行って相談した方がいいでしょう。卵巣機能が未熟でエストロゲンの分泌が低下したままだったり、脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンの分泌の異常が認められる場合もあるからです。

初経後、数年間はホルモン分泌が安定しないために、月経は不順になりがちで、心身ともに不安定な時期となります。

このため、「月経が1回来ただけで次が来ない」「月経周期がバラバラで、いつ来るのかわからない」「不正出血がダラダラ続いて体育の授業に差しつかえる」など、さまざまな悩みを抱えることになります。

2種類の月経異常

正常ではない月経パターンを総称して「月経異常」といいます。月経異常は、「月経周期の異常」と「月経量の異常」に分かれます。

●月経周期の異常
月経周期の異常では、周期が24日以内を「頻発月経」、周期が39日以上を「希発月経」といい、頻発月経と希発月経を合わせて「月経不順」といいます。

思春期の希発月経は、エストロゲンの分泌が安定すれば改善することが多いのですが、頻発月経はトラブルになりがちです。月に2回も来たり、ダラダラとした出血が1か月近く続く場合もあり、夏のプールや修学旅行の時期に、「月経と重ならないようにしてほしい」と、母親が子供を連れて相談に来られることも多いのです。頻発月経は貧血の原因ともなるので、長く続くようなら、医師に相談しましょう。

18歳になっても初経が来ない場合を「原発性無月経」といい、これまで来ていた月経が3か月以上来なくなった場合を「続発性無月経」といいます。

女性の体が子供から大人に変化していく大切な時期に、初経が来なかったり、長期間、月経が止まると、後々の治療が非常に困難になり、将来の妊娠が難しくなることがあります。無月経は決して放置してはいけません。

●月経量の異常
月経量の異常では、月経が3日以内に終了し、その量が極端に少ない場合を「過少月経」といい、月経が8日以上続き、レバーのような塊が混じって貧血になるほど量が多い場合を「過多月経」といいます。

過多月経は子宮筋腫などが原因でおきることが多く、思春期にはあまりみられません。初経後しばらくはホルモン分泌が不安定で排卵のない月経が続くことが多く、無排卵月経では経血量が少なくなります。よって、過小月経は過度に心配する必要はありません。

初経がきたら“かかりつけ医”に相談を

思春期の月経異常は、ほとんどがホルモンバランスの乱れが原因なので、卵巣機能が成熟し、エストロゲンの分泌が順調になれば次第に落ち着いてきます。思春期に初経が来たら、何でも相談できる婦人科の医師に、“かかりつけ医”になってもらうと安心でしょう。

宮沢あゆみ(医師・ジャーナリスト)東京都出身。早稲田大学第一文学部卒TBSに入社し、報道局政治経済部初の女性記者として首相官邸、野党、国会、各省庁を担当。外信部へ移り国際情勢担当。バルセロナオリンピック特派員。この間、報道情報番組のディレクター、プロデューサーを兼務。その後、東海大医学部に学士編入学。New York Medical College、Mount Sinai Medical Center、Beth Israel Medical Center へ留学。三井記念病院、都立墨東病院勤務などを経て、「あゆみクリニック」を開業。講道館柔道2段。