「セックスはコミュニケーション」という言葉はよく聞くけれど、どういう意味なのか漠然としたイメージしかわかないような…。

セックスを通してパートナーとどんな関係を築いていくのか、そして、女性が自分の体を守るためにはどうすればいいのか。

前ページに続いて、丹羽咲江先生にお話を伺いました。

 

咲江レディスクリニック 丹羽 咲江 先生 国立名古屋病院(現・名古屋医療センター)、名古屋市 立城北病院(現・名古屋市立西部医療センター)勤 務医を経て開院。思春期の問題に向き合う思春期外 来、出張性教育、一般女性を対象にした「女性の健康」 についての講演活動などを精力的に行っている。

その瞬間も、したあともずっと幸せでいるために

コミュニケーションというと、言葉を交わしたり手をつないだり、相手との親密性をどんどん深めていくことを想像しますよね。セックスもその手段の一つ。教科書的な生殖目的だけではなく、お互いが気持ちよくなるために会話をしたり、してあげたいことを考えたり、思いやったりと、とても高度なコミュニケーションです。 だからこそ、セックスの時もそのあとも、幸せな気持ちが続いてほしい。予期せぬ妊娠や性感染症などで悲しい思いをしないように、性について正しい知識をもつことは男女ともに必要です。

コミュニケーションの基本は、相手に自分の気持ちをしっかり伝えること。「この行為はいや」「もっとこうしてほしい」「今日はしたくない」など、自分から発信する意識をもちましょう。そして、パートナーにとって気持ちいいことも、ちゃんと教えてもらいましょう。セックスは必ず相手がいる行為なのだから、「お互いが気持ちよくなれる」ことを大事にしてほしいですね。

 

主体性をもって防ぐセックスのリスク

性感染症予防はコンドームをつけることが基本中の基本ですが、それでも防げない病気があることを知っておきましょう。不特定多数の人とセックスをしないことと、パートナーとのセックスを考える時期になったら性感染症の検査を受けることも大切。海外では、カップルがお互いの体が安心・安全であることを検査で証明する習慣が根づいています。日本でもインターネットで簡易キットを購入できるので、ぜひ活用してみてください。

妊娠のリスクに関しては、ピルを飲むことが最も効果があると言えますが、日本では避妊目的のピルは保険適用外なので少々高額です。ドラッグストアなどでは購入できず、病院で診察を受けて処方してもらわなければならないなど、何かとハードルが高いため普及率は低いまま。そのため、避妊はコンドームで男性任せという女性も多いのですが、破れたり失敗したりと、確実性は低いのが現実です。妊娠も出産も子育ても、負担が多いのは女性なのに、自分の体を自分で守れないのはとても残念なこと。いい加減な男性にかぎって「絶対、大丈夫!」と言いがちなので、皆さんには自分を守る意識を強くもってほしいと思います。

 

服を脱ぐ前に話そう!お金とセックスのこと

性に関する情報は世の中に溢れていて、何が正しいのか、見極めは難しいと思いますが、基本的には医師が監修したものなら信頼性は高いといえます。雑誌やネットのセックスマニュアルのような情報は参考程度にしておきましょう。
 私がいつもアドバイスするのは、パートナーができたら「お金」と「セックス」のことはちゃんと話をしましょうということ。まったく他人の二人が手を取り合って安心して幸せに暮らしていくためには、この2つは特に大事なポイントです。うやむやにしては絶対にダメ。逆に言えば、その話題を避ける男性とは「一緒に歩めないよね!」って思えるくらいの女性になってほしいですね。

SEXの素朴な疑問

Q.生理中にするのはよくないの?

A ダメではありませんが、生理中でアルカリ性に傾いている腟内に、アルカリ性の精子が射精されたり刺激が加わったりすることで炎症が起こりやすくなるから、コンドームをつける、刺激を弱めるなど注意が必要です。また、生理中は子宮が収縮しやすいので、激しくしたらギューッと締めつけられるような痛みを感じることもあります。女性の体は月経周期によっても痛みの感じ方が変わります。一番痛みを感じない時期は生理が終わって排卵までの約1週間。排卵時や、排卵後2週間はセックスの刺激でお腹に痛みを感じやすくなるので、生理周期とセックスのタイミングを意識してみるのもおすすめです。

Q 前後にシャワーは浴びた方がいい?

A する前はシャワーを浴びないといけないと思っている人や、浴びないと感染症などの病気が心配という人は多いですよね。でも、必ずしもそうではありません。たとえば、セックスそのもので腟内がアルカリ性に傾いている時に、アルカリ性の精子が射精されると多少は菌が繁殖しやすい状態にはなります。でもそれはもともと軽い炎症などがあり、セックスすることで腟内環境が変わって、より菌が繁殖しやすくなった、ということがほとんど。セックスをしたから、不潔な行為をしたから、というのはあまり関係なく、においが気になるならシャワーを浴びればいい、というくらいの位置づけです。
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