「子宮がん」には、「子宮頸がん」「子宮体がん」の2つがあります。以前は中高年以降に発症リスクが高まるとされていましたが、とくに子宮頸がんについては、20代でも発症するケースが増えてきています。初期は自覚症状が現れにくく、いかに早期発見できるかがカギ。今のうちから子宮がんに関する知識を高めておきましょう!

秋山レディースクリニック 秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

子宮頸がん。どんな病気?

 

若い女性にも急増中!

子宮頸がんは子宮の入り口(子宮頸部)に発生するがん。日本では毎年およそ1万人がかかり、約3000人が死亡しています。以前は40〜50代に多いがんでしたが、最近は20〜30代の女性にも増えており、死亡率も増加しています。これは検診受診率の伸び悩みや性交年齢の若年化・性行動の活発化により、若い年代に、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスに感染する機会が増えたことが原因と考えられています。

◎かかる可能性があるのは?

95%はHPVというウイルスに感染することが原因といわれています。大部分は性行為によって感染します。ただ、HPVはほとんどの女性が一生に一度は感染するという、とてもありふれたウイルス。ですからHPVに感染したからといって、必ず子宮頸がんになるというわけではありません。そのなかでハイリスクといわれるタイプのHPVに長期間感染することで発病するのです。

◎かかるとどうなるの?

初期は無症状であることが多く、がん検診で初めて発見されることがほとんどです。早期発見で子宮摘出は回避できたとしても、子宮頸部の一部は摘出する必要があり、これにより妊娠しにくくなったり、流産や早産のリスクが高くなったりします。

早期発見とワクチンがカギ!

◎パートナーができたら検診へ!

厚生労働省の指針では、20歳以上の方は定期的(2年に一度)に子宮頸がん検診を受けましょうとされていますが、性行為のある女性なら誰でもリスクがありますから、新しくパートナーができた時など、年齢に関係なく検診を受けることをおすすめします。

◎ワクチンについて情報収集し、自分の体を守ろう

子宮頸がんの予防としては、厳密に言えるものはHPVワクチンのみといって差し支えないでしょう。

2007年からHPVワクチン接種に積極的に取り組んできたオーストラリアでは、10代・20代の女性が学校やかかりつけ医などで無償でワクチン接種を受けられる制度を導入しており、2028年にはオーストラリアで子宮頸がんはほとんどなくなるであろうという研究報告が発表されています。そのほかにも、スウェーデンやフィンランドなど、世界各国でHPVワクチンによる子宮頸がんの大幅な減少が報告されています。

子宮頸がんでつらい思いをする患者さんを減らすためにも、検診だけでなくHPVワクチンが必要であると考えます。この問題については、若い皆さんも積極的に情報収集をし、判断に役立てていただきたいと思います。

子宮体がん。どんな病気?

日本人にも増えているがん

子宮の奥(子宮体部)から発生するがんで、女性ホルモンであるエストロゲンが発生にかかわっていると考えられます。もともと欧米人に多いがんでしたが、近年、食生活の欧米化などにより、日本人にも増えてきています。

◎かかる可能性があるのは?

基本的には閉経後の女性(50〜60歳)に多い病気です。40歳以下の若年者の割合は2〜14%といわれていますが、妊娠・出産の高年齢化や肥満などが関連しているとされ、近年、増加傾向にあります。

◎10〜20代でも検診を受けたほうがいいの?

過度に恐れる必要はないと思いますが、不正出血や過多月経(生理の時に量が極端に増えること)など、気になる症状があれば、婦人科を受診し、相談してみてください。

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