学生から社会人になると、生活環境の変化などで生理痛がひどくなったり、生理不順になることもあるようです。
仕事を頑張りたいと思っても、生理で心身の状態が乱れると困りますよね。
これからも生理と上手につきあっていくための方法を、ごきそレディスクリニックの小川麻子先生に教えていただきました。
社会人になると生理が乱れやすくなる?
学生から社会人になり、生活環境が大きく変わると、人によっては脳がストレスを感じます。すると排卵を抑えるホルモンが分泌され、月経リズムが乱れることがあります。たとえば、学生時代に運動していた人は、社会人になると運動不足になりがち。また、デスクワークで長時間座ったままでいると、下半身の血流が悪くなって、経血量が増えたり、生理痛が起きやすくなったりします。
「入社直後の野外オリエンテーションの日に生理がきてパニックになった」という先輩社会人もいます。トイレがどこにあるかわからない環境で、行くタイミングもつかめない…。だからといって「生理中なんです」とも言えないですよね。でも、トイレを我慢すると、腟に溜まった経血が子宮の中に逆流して、子宮内膜症などの原因になることもあります。
生理がある女性の約80%は、月経困難症(おもに生理痛)、月経前症候群(PMS)、月経不順など、
生理に伴う何らかの不調を感じ、なかには日常生活に支障をきたす人もいます。ほとんどの女性は生理を1カ月単位でみていると思いますが、実は毎日の生活リズムも生理と深く関係しています。まずは、毎朝決まった時間に起きて、お日さまを浴びることを心がけてみてください。
体を冷やさないようにしたり、ストレッチなどの軽い運動を習慣にするのも、症状をやわらげるのに効果的です。それでもつらい時は我慢しないで、市販のお薬を使いましょう。お薬の選び方や飲み方を知ることも、生理とうまくつきあう方法の一つです。
生理で悩む人の強い味方!ピルをもっと身近に
セルフケアをしたり、痛み止めのお薬を使っても重い症状が続く時は、深刻な病気が隠れているケースもあります。早めに婦人科の先生に相談しましょう。また、異常がなくても、ピルなどのお薬を使って生理をコントロールし、症状を改善する方法もあります。
代表的なのが「LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン)療法」です。これは排卵を一時的にお休みさせて、生理に伴う症状を改善します。服用法には「1カ月単位」と「連続投与」があり、4カ月連続服用であれば年間の月経回数を3回まで減らせる可能性もあります。
LEP療法で改善がみられない人には「黄体ホルモン連続法」や、妊娠・出産を経験された人には「ミレーナ®」という避妊リングを使う方法もあります。
この3つの方法は、月経をコントロールして無駄な排卵を抑え、生理に伴う症状を改善するだけでなく、試験や旅行など大事な日の生理も回避できます。また、赤ちゃんを希望する時は、うまく妊娠に結びつきやすくするメリットもあります。
痛み止めの選び方、飲み方
生理痛や頭痛は、子宮を収縮させる原因物質(プロスタグランジン)によって起こります。市販薬のなかでも、この原因物質を抑えるイブプロフェン配合のお薬を選びましょう。ポイントは痛みを感じる前に飲むこと。「お腹が張る」「腰がだるい」などの予兆を感じた時、早めに飲むと痛みを感じにくくなります。
生理コントロールの3つの療法
LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン)療法
●黄体ホルモンと卵胞ホルモンを含む低用量ピルを服用
●月経困難症(おもに生理痛)、月経前症候群(PMS)、生理不順を改善
●服用は「1カ月単位」または「連続投与」
●慣れるまでは軽い出血、頭痛を伴う場合あり
●血を固まりやすくする血栓作用があるため、服用中は水分補給や適度な運動が必要
●費用の目安:1カ月約3000 円前後(保険適用)
黄体ホルモン連続法
●黄体ホルモン剤(ディナゲスト®錠0.5~1mg)を服用
●月経困難症や月経前症候群(PMS)、生理不順を改善
●毎朝晩、服用して月経を調整(年間の月経回数を0 回に減らせる)
●血が固まりやすい人、LEPが効かない人におすすめ
●費用の目安:1カ月約3500 円前後(保険適用)
ミレーナ®(子宮内黄体ホルモン放出システム)
●黄体ホルモン剤を付加した器具を子宮内に装着
●月経困難症や月経前症候群(PMS)、月経過多を改善
●1回の装着で効果が5 年間持続する
●おもに妊娠・出産歴のある人におすすめ
●費用の目安:5 年間で約1万円前後(保険適用)
電子書籍のダウンロードはコチラ↓