第6回 基礎体温をつけよう!

前回の「基礎体温表は貴重な情報源」では、基礎体温表と体調管理の関係について解説しました。では実際に、月経時期の相談に来た母娘と医師のやりとりをみてみましょう。

<症例1>

美奈ちゃんは16歳の高校2年生。母親に連れられて来院した。

13歳で生理が来たのですが、それから3年間ずっと不順で、月に2回も来たかと思うと、2か月も来なかったりで、いつ生理が来るのかわからないんです。

今度、林間学校があって、1週間、お友達と一緒に生活するのに生理がぶつかると大変だなと思って。可能なら当たらないようにしたいのですが…。

 

月経の変更は、規則正しく来ている人なら簡単ですが、いつ来るかわからない人の月経を変えるというのは、本来、変える必要があるのかどうかも不明で、なかなか大変なのです。基礎体温はつけていますか?

 

いえ、まだ早いと思っていました。

 

今からつける習慣をつけておくといいですよ。特に月経不順の人は、基礎体温をつけていただけると診察の助けになるのです。毎朝の体温をグラフにした基礎体温表には色々な情報が詰まっていて、検査をしなくても、グラフを見ただけで診断がつくことも多いのです。

 

わかりました。早速つけさせてみます。

 

美奈ちゃんできるかな? 朝、起きたら体を動かさずに、婦人体温計を舌の下に入れて、ピッと鳴るまで5分間ほど測ります。測る時間は毎朝、だいたい一定の時間になるようにしてくださいね。測った体温は、すぐに基礎体温表に記録する習慣をつけましょう。

 

はい、やってみます。

 

慣れないうちは面倒に感じるかも知れませんが、慣れてきたら日々の体調なども記録しておくといいですよ。自分の体調管理ができる日記のようになって、“つけないと落ち着かない”という人もいるくらいです。最初はお母さんも見てあげてくださいね。

ホルモンのバランスが正常か乱れているか、排卵があるかないかなど、基礎体温表から読みとれる情報は非常に多岐に渡ります。

月経不順の相談で医療機関を受診する場合には、最低2~3か月分の基礎体温表をつけて持参していただけると、診断がスムーズに運びます。

基礎体温表には、月経日、月経量、月経期間などを書き込む欄があって、長く記録していただければ、月経周期のパターンなどもわかるようになるからです。

基礎体温でからだのリズムを知ろう

自分のからだのリズムを知るためにも、毎朝、基礎体温を測り、その日の気分や体調の変化なども合わせて記録しておきましょう。からだのリズムがわかれば、体調に合わせて予定を組んだり、月経周期をコントロールすることも可能となるからです。

宮沢あゆみ(医師・ジャーナリスト)東京都出身。早稲田大学第一文学部卒TBSに入社し、報道局政治経済部初の女性記者として首相官邸、野党、国会、各省庁を担当。外信部へ移り国際情勢担当。バルセロナオリンピック特派員。この間、報道情報番組のディレクター、プロデューサーを兼務。その後、東海大医学部に学士編入学。New York Medical College、Mount Sinai Medical Center、Beth Israel Medical Center へ留学。三井記念病院、都立墨東病院勤務などを経て、「あゆみクリニック」を開業。講道館柔道2段。